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埋蔵文化財調査はじまる 新ボックス棟建設に向けて 西部構内

2007.12.16

12月10日、西部構内ボックス棟建て替え計画の第1期工事(2008年10月竣工予定)が着工した。02年に計画が持ち上がって以来、関係サークルらはボックス連合(以下B連)を組織し、計画の是非や内容について学生サークルの合意を形成してきた。また大学当局との折衝を続け、今年10月には新サークル棟の設計図案について最終合意した。今回の着工はこの合意を受けたものだ。来年4月からの基礎工事を前に、年明けから埋蔵文化財調査の発掘が行われる予定だ。京大による西部構内の調査はこれが初めてとなる。

12月10日から施工業者が西部構内の広場に入り、工事区域を囲むフェンスの設置が始まった。西部構内に全部で5棟建設されるボックス棟のうち、第1期工事で建てられる2棟分の区域だ。フェンスに囲われた工事区域では現在、埋蔵文化財調査の下準備として、水道配管の継ぎ替えや調査基地の設置が行われている。

埋蔵文化財の発掘作業が本格化するのは08年1月から3月末まで。京大埋蔵文化財研究センターの伊藤淳史助教が現場指揮を執る。

その後の予定として、08年4月から第一期工事分の2棟の基礎工事が始まる。鉄筋、外壁、内装工事が行われ、同年9月末に竣工することになる。現サークル北棟に在籍するサークルがこの新棟2棟に移転し、サークル北棟は08年11月半ばまでに全て取り壊される。跡地にサークル棟残り3棟を建設するための第2期工事が着工し、第1期工事と同様の流れを経て09年9月に竣工する。(図参照)

ただし、仮に第1期・第2期工事の埋蔵文化財調査の際に、文化財が発掘された場合、その重要度によっては工事が止まる可能性もある。

工事が実際に着工したことで大学当局とB連の交渉は新たな局面を迎える。これまで行ってきた施設の設備面の交渉は一段落し、管理規約の文面作成など条件面が主な議題となってくる。B連は今後、管理規約の作成に関して内部の合意形成や大学当局との交渉を本格化させていく模様。

B連と学生部は既に新ボックス棟の利用条件に関して「実質的な」24時間使用を認める方針を06年12月に確認している。しかし、その内容をしっかりと反映された管理規約を大学当局と合意ししておかなければ、時間の経過とともに骨抜きにされていく可能性がある。B連幹事は来年3月の定期総会にむけてB連内部の意見を集約し、規約の文言を策定していく必要がある。

また、新棟完成後の施設運営のあり方も議論されるべき点だ。07年春のB連総会では、B連の後継団体をつくるという提案がなされたが、その後この提案に関する継続した議論は行われていない。

目に見えて工事が動き出したことを契機に、08年9月の竣工に向けて、「建った後にどうするか」という議論がB連内で再び活発化するのは必至だ。

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埋蔵文化財調査では、70〜80センチメートルある表土を機械で除去したのち、その下約1メートルを調査員が手で掘り進める。1月中・下旬から約3ヶ月間おこない、学生もアルバイトとして参加する予定。

現場を指導する伊藤淳史・埋蔵文化財研究センター助教は「中世以降の遺跡があるのは間違いない。『泉殿』の比定地なので、それが出るかもしれない」と話す。中世より昔の分は「近隣の調査結果をみるに、鴨川の氾濫で流されてしまっているだろう」。

西部構内を含む吉田泉殿町の由来でもある「泉殿」は、13世紀に建造された西園寺家の別荘。文献に記述があるものの、その跡は今まで見つかっていない。今回の調査で関連物が出土する可能性がある。

調査期間中、「関心のある人は事務所へ声をかけてくれれば、説明を厭いません」(伊藤助教)という。

《本紙に図・写真掲載》