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京大病院インスリン投与事件 解雇処分相当に

2011.07.07

09年11月に京大病院で患者に故意に不要なインスリンを投与した事件に関して、傷害罪で懲役1年6ヶ月の刑が確定していた同病院の看護師(25)について、5月18日、京都大学は「解雇処分相当」として、退職金を支給しないことを決定した。同看護師は、逮捕された翌月10年4月に辞職している。

11月14日から16日にかけて、90歳代の女性患者が3日続けて低血糖発作を起こした際、そのうちの14日と16日の2回の発作について、同看護師は患者が危険な低血糖状態に陥っているにもかかわらず、実測とは異なる数値を公式なものとして電子カルテに記録した。その後12月17日に循環器内科から医療安全管理室へと原因不明の発作についての報告があり、京大病院は故意にインスリンが投与された事件性も否定できないとして21日に警察へ届け出た。

翌年2月22日に、同看護師が患者の血糖測定値を高く記録した事実を認めたため病院は警察に告発した。京都府警は翌月2日に、電子カルテに虚偽の記載をし、患者の生命を故意に脅かしたとして、公電磁的記録不正作出と同供罪の疑いで看護師を逮捕した。さらに同月21日、不要なインスリンを多量に投与したとして、殺人未遂の容疑で看護師を再逮捕した。

その後同年7月に京都地検が看護師を傷害などの罪で告訴し、10月29日に京都地裁は懲役1年6ヶ月の判決を下した。共同通信によると、判決理由で笹野明義裁判長は「仕事にプレッシャーを感じ、患者へのいら立ちを解消するためという動機は身勝手だ」と指摘。「看護師の立場に乗じ、医療を装って患者の身体を害した刑事責任は重い」と述べた、という。

患者は一時重体だったが回復し、09年中に退院している。