ぶらり大学Library #1 多言語文献と探検資料が凝縮 アジア・アフリカ地域研究研究科 アジア専攻図書室
2026.02.16
アラビア語の本には、背表紙を並べると紋様になるものが少なくない
総合研究2号館の4階。何の変哲もない扉の先には、千差万別の書籍が所狭しと詰まっていた。背表紙を見ても読めない。アラビア語、ネパール語、ウルドゥー語……。どこからどこまでが1文字なのかもわからない。アラビア語とネパール語の蔵書数は日本一だというアジア専攻図書室。日本語でも欧米言語でもなく、現地諸語で書かれた蔵書が最大の特徴だ。30年ほど前、目録作成のため着任した木下さんは、書名の入力にかなり苦労したという。「ウズベク語はできましたが、ウルドゥー語は本当に大変でした(笑)」。資料は現地で収集されることも多いそうで、「現地の古本屋さんと仲良くなるのも大事です」と竹田教授。またタイ研究においては、葬儀の際に大量に発刊される、故人に関する書籍「葬式本」も重要な資料になるという。
特に貸出数が多いのは語学の学習書だ。マイナー言語の教材は書庫1つ分を埋めるほど。基礎的な教材も随時補充しているのだという。DVDも含めた語学学習に役立つ資料や、辞書類も一時貸出できる環境の充実ぶりは、大学院としての役割を体現しているといえよう。
多言語の文献の収集に加えてアジア専攻図書室の大きな特徴は、戦前からのフィールドワークによって蓄積された文献である。「探検大学」とも呼ばれるほど海外調査に力を入れてきた京大だが、アジア専攻図書室にも調査のコレクションが多く所蔵されている。特に、梅棹忠夫が所属した京大学士山岳会が集めた、三高・帝大時代からの資料が収蔵されている。フィールドワークを基調としてきた京大の特徴を捉えた蔵書となっている。
図書室運営における課題について竹田教授は、図書館の拡充の重要性を挙げた。増え続ける蔵書に対し、大学には所蔵スペースが不足しているという。また、部局ごとに分割して資料を所蔵することの意義を強調。予算などは一括した方が効率的だが、マイナー言語で蔵書を揃えるなどの独自性を持った方が研究や教育に小回りを効かせられるだろう、と語った。今後はオンラインで資料を閲覧できる環境の整備を進めたいと語る2人。イチ押しの書籍を聞くと、2人揃って「全部です」と笑顔を見せた。
