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新大学院構想が浮上 全寮制・5年一貫でリーダー養成

2011.01.31

京都大学がオールラウンド型の人材養成を目指す5年一貫制の「学寮型大学院(以下、新大学院)」を新設する構想を進めていることを、昨年12月24日、松本紘総長が明らかにした。今後文部科学省のリーディング大学院プログラム(用語説明参照)に応募し、認められれば早期の実現に向け全学的な体制を構築するという。

京大では昨年春頃から分野横断型の新大学院構想を松本総長の発案のもと総長室を中心に検討しており、来年度予算でリーディング大学院事業の予算がつくめどが立ったため公表された。

新大学院構想の中身は以下の通り。ちなみに一般各紙の報道では全てが決定事項のように扱われているが、これらはあくまでも構想段階のもので、仮にリーディング大学院プログラムの拠点選考で落選すれば全て白紙に戻ることになる。

まず教育課程は一学年の定員を16〜20名の少人数に絞った5年一貫の博士課程をとり、通常の学位同様の専門性と、社文理融合の幅広い知識を兼ねそなえた「次世代リーダー」を養成するという。独立研究科のかたちをとるが、全学的な協力体制を構築する。

1・2年目は専門分野の研究に専念。学生個々人の興味に応じてカリキュラムを構築するテーラーメイド制度を採用する。3年目で「情報環境」「人文哲学」など8分野の必修教養科目を履修。4年目は海外の大学、企業、国際機関への長期留学、最終年度の5年目では組織心理学やコーチング等リーダーシップ教育を施すという。卒業後は官公庁や企業、国際機関、研究機関など各分野へ進出を想定している。 国際的な人材養成をはかるため授業は原則として英語で実施し複数外国語の習得を義務付ける。また研究指導、教育指導、そしてメンターの3分野にそれぞれ指導教員をつける複数指導教員体制を採用する。

さらに学生には学習・研究に専念できるように奨学金での経済支援を検討。さらに教員が寮長を努める寮で全員が共同生活を送る環境を考えており、現在施設を建設できるスペースまたは活用できる既存建物をいくつか検討している段階だという。財源は基本的に文科省のプログラム予算と企業などから寄付金を募り賄う方針だ。

現在は学際融合教育研究推進センタ―に設置準備室が置かれ作業にあたっており、今後は文科省がリーディング大学院の拠点公募を始め次第、新大学院の申請をするかまえだ。学内では昨年末に教育研究評議会で、年明けには部局長会議で新大学院構想を拠点申請する方針の報告・説明がなされたが「特に反対の声は出ていない」といい、申請が認められれば急ピッチで新大学院開設に向けた動きが進む模様だ。

(用語説明)「リーディング大学院プログラム」とは文科省が来年度から7カ年計画で実施する、「世界を牽引するリーダーを養成する世界トップレベルの大学院を形成する」事業。昨秋の「事業仕分け」で見直し判定が出されていたが、一転して実施されることとなった。京大は「文理融合のオールラウンド型拠点(2ヶ所・各年額6億円)」に応募する見込み。