文化

地震学に触れ、防災を考える 阿武山観測所 特別公開

2025.11.01

地震学に触れ、防災を考える 阿武山観測所 特別公開

佐々式大震計。おもりについた針が揺れの大きさを刻む仕組みだ

10月12・13日、大阪府高槻市の地震観測施設である阿武山観測所が施設内を特別公開した。全国各地にある京大の教育研究施設を一般向けに紹介する「京大ウィークス2025」の一環だ。防災クイズや京大防災研究所の教授による特別講演もあり、地震について多角的に考える工夫が詰まったイベントとなっていた。

施設内では、新旧さまざまな地震計が展示されていた。記者を案内してくれた飯尾能久・京大名誉教授によれば、「歴史的な地震計を当時の姿のまま展示しているのは日本でここだけ」だという。

ひときわ目を引いたのが、「佐々式大震計」だ。1934年から96年まで使用された、世界で阿武山観測所のみ保有する観測機器である。人の背丈を超える大きさで、一部屋をほぼ占有していた。これほどの大きさになったのは、振り子の周期を長くするため。周期が長いぶん、大きな揺れでも針が振り切れてしまうことなく、正確に計測できるのだという。

イベントでは、両日ともに『みんなで学べる地震と防災クイズ』も開催した。NPO法人阿武山地震・防災サイエンスミュージアムに所属する坂手央人さんが出題と解説を担当した。震度とマグニチュードの違いからエレベーター内で災害が起きた際の対処法まで、スライドを用いた丁寧な説明付きで、楽しく学べた。参加した子供たちが正誤に一喜一憂しながら楽しむ様子も見られ、坂手さんは「やりがいを感じる」と顔をほころばせた。

13日には、防災研の矢守克也教授が講演した。矢守教授は、たとえ被害が小さそうな災害でも積極的に避難行動をとることが、後の大災害に備える「素振り」になると強調した。講演を聞いた参加者は、単に災害を怖がるのではなく適切な対処法を考えることの重要性を再認識したといい、「防災教育によって多くの人にこの考えが広まってほしい」と期待を込めた。

また13日には、起震車で地震を体験することもできた。記者は阪神・淡路大震災と同程度の揺れを体験した。座っていた椅子ごと激しく横に揺さぶられ、身を守ろうと動き出すことさえままならなかった。地震が起きる前から、家具を固定するなど危険を減らすことが必要だと気付かされた。

阿武山観測所は、京都帝大理学部の志田順教授が1930年に創設したとされる。現在は付近で自動観測を続けつつ、概ね月5回、見学会を開き、施設内の展示を紹介するなどしている。NPOが見学会の実務を担当している。

京大の教職員は常駐しておらず、所長の深畑幸俊教授は「人手がないため学生は呼びづらい」とこぼす。充実した展示内容を鑑みれば、実に惜しい。京大生を招待する全学的な取り組みはなくとも、興味のある読者は見学会に足を運んでみては。(梅)

参加者は防災クイズに札をあげて回答した