銭湯サークル 元会長 銭湯の店長に 「街のため風呂沸かし続ける」
2025.10.16
竹林さんはここで番台業務に励む
大黒湯は47℃ほどの「京都一熱い風呂」で人気を博し、隣にある花街からは舞妓や芸妓が訪れていた。だが、煙突の故障などを理由に今年2月に休業し、4月からは廃業していた。銭湯の経営を行う「ゆとなみ社」の社長が大黒湯の女将らと協議した結果、銭湯でのアルバイト経験もある竹林さんに新店長として白羽の矢が立った。
竹林さんは「やってみたい」と即答。以前から店に通っていたことや、人力車のアルバイトで花街をよく訪れていたことから、「店長になって街に恩返ししたい」との思いがあったという。6月からは、銭湯サークルの有志30名ほどの力を借りて、銭湯の掃除や修繕を行った。10月からは1年ほど休学して、店の経営に専念する。
今は大黒湯で寝泊まりする。営業のある日は、朝9時には起きて風呂掃除やドリンクの補充、レジ金の確認などを行う。15時からは店を開けて番台業務をこなし、深夜1時の営業終了後は締め作業を行って3時には就寝。営業のない日も、浴場のタイルの修繕などを行う。営業再開当初は作業に慣れず、1日の睡眠時間が4時間になる日も多かったという。「銭湯サークルで行っていた風呂掃除だけでなく、店長として全ての業務をこなす必要がある。楽しいものの思っていた以上に大変」と語った。
大学生で銭湯の店長になるとは夢にも思わなかった。「人生何があるか分からない。進路に悩んだら大黒湯へ。でっかくて温かい風呂で人生を見つめ直すのも悪くない」。そう笑顔で語った。(郷)
