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京大 広島県で慰霊祭を開催 原爆調査中の殉職者を追悼

2025.09.16

京大 広島県で慰霊祭を開催 原爆調査中の殉職者を追悼

犠牲者に花をたむける湊総長(=広島県廿日市市)

広島市に投下された原爆の被害調査や被爆者の治療にあたっていた京都帝大の教員・学生11名が、1945年9月枕崎台風による土石流で亡くなったことを悼み、9月13日、京大は広島県廿日市市にて80回目となる「慰霊の集い」と式典を開催した。遺族や湊長博総長、伊佐正・医学研究科長、佐々真一・理学研究科長ら約80名が参列し、犠牲者を追悼した。

45年8月、広島市に原爆が投下された後、国の要請を受けた京大は、医学部の教員・学生と理学部の物理学者らを「原爆災害総合研究調査班」に組織して広島へ派遣した。9月3日から大野陸軍病院を拠点に調査や治療を行っていたところ、17日に超大型の枕崎台風が上陸。土石流が大野陸軍病院を襲い、京都帝大の11名を含む、156名が犠牲となった。

京大主催で5年に一度行う式典では、参列者が犠牲者に黙とうを行ったのち、湊総長らが追悼の言葉を述べた。医学部教授であった祖父を亡くした遺族は、「家族にとっては本当に辛く悲しい出来事であった」と振り返り、「これからも平和の尊さを伝えていきたい」と話した。その後、大野陸軍病院跡付近にある遭難記念碑に移動し、犠牲者をしのんで献花した。

伊佐氏は、調査班の調査結果がその後の研究の礎となったことに敬意を示したうえで、「患者の命を助けようと治療に取り組んだ研究者が災害で亡くなったことは、大変痛ましく言葉に表せない」と犠牲者への思いを語った。また、現在でも災害医療の重要性は高いとしたうえで、「研究機関として、災害時に系統立った医療を行う仕組みを作りたい」との展望を述べた。