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学位授与式 1名が受領拒否 「大学の強権体制」に異議

2025.04.16

3月24日、左京区の京都市勧業館みやこめっせで令和6年度大学院学位授与式が行われた。式典では湊長博総長が代表者らに学位記を授与したが、学生1名は壇上で「受領は拒否いたします」として学位記を受け取らなかった。

学位授与式は修士・専門職・博士の学位授与者へ向けて行われるもの。各研究科などを代表した学生が総長から学位記を受け取る。今回学位記の受領を拒否した学生はアジア・アフリカ地域研究研究科に所属しており、修士(地域研究)の代表だった。

本紙の取材に対し当該学生は、「特に湊氏が総長に就任して以降の、大学の強権体制に異論を唱えるため」学位記の受け取りを拒否したと話した。具体的な問題として、吉田寮をめぐる一連の問題で大学が「独断で暴走し、寮生と誠実に対話しなかった」ことや、2022年の熊野寮祭で「総長室突入」に参加した京大の学生ら7名が、大学の刑事告訴により今年2月に逮捕されたことを挙げた。なお、学位記は「尊敬する指導教員の先生方からはありがたくいただくべき」と判断してあらためて研究科長から受領したという。

京大の本紙の取材に対する回答によれば、学位記を受け取らなかったことで学位の授与が取り消されることはない。代表者の選考基準や学生が受領を拒否したことについて、大学は「お答えすることはありません」とした。