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還暦を迎えての入学 趣味としての学問

2010.10.04

ナカニシヤ出版より、今年9月に『還暦三度目の京都大学合格記』が出版された。著者は高鍬博氏。1973年に理学部を卒業後に、医学部に再入学、卒業。研修を経て医師として医療に携わり、1986年から24年の間、天理よろづ相談所病院消化器内科に勤務してきたが、2009年に今度は文学部に入学した。現在は退職し、文学部2回生。

高鍬氏が最初に京都大学に入学したのは、折しも水俣病などの公害問題が取り沙汰され科学技術の否定的な側面が浮き彫りになった時代であり、社会的な貢献を考えて医学部に再入学したのだという。卒業後は臨床医として活動するも、趣味としての学問を諦めきれず、還暦を迎えたことを機に文学部受験を決心した。認知症の母親の介護や趣味の登山など、その他の要素もあった。

本を出版したきっかけは友人の勧め。還暦を迎えながらの入学に対して、若者のチャンスを奪っている、といった批判はあったものの、周囲からは好意的な反応が多かった。そういった後押しを受け、「自分と同じ還暦世代に、大学に行くという自分の経験を例に、1つの生き方を提示したかった」と高鍬氏は語る。