万博で「量子もつれ」体験展示 工学研 他部局も出展
2025.03.16

万博で展示する実験装置を前に微笑む研究チーム=2月18日、京大桂キャンパス
量子もつれの展示は8月14日から20日まで、万博EXPOメッセ「WASSE」にて内閣府と文科省が主催する企画展「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」で行われる。
展示の目的は、量子もつれの不思議な世界を一般の人々に体験してもらうことにある。量子もつれに関する体験型の展示は、研究グループの知る限り、国内初だという。
展示は3つのゾーンから構成される。
1つ目のゾーンでは、光の最小単位が光子であることや、光子は量子であることが説明される。
2つ目のゾーンでは、量子もつれ状態にある光子のペアをその場で発生させる。量子もつれの状態にある量子のペアは、どんなに離れていても、一方が他方に瞬時に影響する。また、量子の世界では、複数の現象が干渉し、本来起こるはずの現象が起こらなくなることがあるという。来場者は実験装置を通じてこれらの不思議を体験する。
3つ目のゾーンでは、量子もつれの技術への応用として、身体組織の分析に用いる医療機器を小型化・高性能化できることが紹介される。ここでは、自分の指の内部を見る体験が目玉だという。
今年は人類が量子力学を発見してから100年目の節目の年で、国連は今年を「国際量子科学技術年」と定めている。企画展は、この記念として開催される。
竹内教授は記者会見で、量子を用いた研究は、その応用に注目が偏る傾向が最近みられるとし、「いろいろな人に、私たちの世界はこうなっているんだよと伝えたい」と意気込みを語った。
他部局も出展
京大によると、万博には京大の他部局の研究者も出展する。
複合原子力科学研究所の中村秀仁助教は、8月14日から19日まで、EXPOメッセにて文科省の展覧会に出展し、高校生と取り組む「科学に理解ある社会づくり」の活動を紹介する。
防災研究所は関西パビリオンにて、5月2日に人工雲の生成実験を披露し、9月8日から14日まで研究所の活動を広めるブースを出展する。同研究所の山口弘誠准教授らは、8月19日から9月1日まで、フューチャーライフヴィレッジにて内閣府の展覧会に出展し、豪雨制御の研究を紹介する。また、同研究所の土佐尚子特定教授が制作した、生命の誕生と未来をテーマにしたアートも、同ヴィレッジにて常設展示される。