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【特集】徹底解剖、1次リーグ対戦国! ~日本勝利の可能性を探る~

2010.06.11

6月の11日からいよいよ4年に一度の祭典、サッカーワールドカップが開催される。各スポーツ紙では日本代表の報道が花盛りだが、日本が1次リーグで対戦する国々に関する報道は意外なほどに多くない。せっかくの「祭典」なのだから自国以外のチームやその国の文化に触れなければ損ではないか。そこで、W杯目前の今回は「日本勝利の可能性を探る」と題して、日本が1次リーグで対戦する予定のカメルーン、オランダ、デンマークそれぞれの国について徹底取材を試みた(一部の記事にネタ的要素が含まれていますがご容赦ください)。(編集部)

敵の台所へ潜入せよ!カメルーン料理店探訪

6月14日に日本はカメルーンとのグループリーグ初戦を控えている。W杯のグループリーグは4チームによる総当たり戦である。ゆえにグループリーグの試合は全部で3試合あるわけだが、その中でも初戦はもっとも重要だと言われており、ここで負けると非常に苦しくなる。2002年に行われた日韓W杯ではグループリーグ初戦に敗退した11チームの内、グループリーグを突破できたのはトルコ1チームのみである(トルコは優勝国のブラジルに敗れた)。絶対に落とせない1戦を間近に控える日本の目下のライバル、カメルーンをより深く知るために東京、池袋にある日本唯一のカメルーン料理店「オーヴィラージュ」に、編集員、鴨と共に潜入してきた。

池袋サンシャイン通りにほど近い雑居ビルの2階に、ライバル達のねぐら「オーヴィラージュ」はあった。おそるおそる中に入ると、敵を油断させようという作戦なのか店員さんは意外にも好意的にテーブルへと案内してくれた。店内はそれほど広くなく、20人も入ればいっぱいになってしまいそうなくらいであった。土日祝日は1000円のバイキングで好きに飲み食いできるシステムらしく、我々が訪れた日はたまたま休日であったのでとりあえず適当に並んでいるものを食べようということになった。

カウンターに並ぶ料理のラインナップはクスクスの煮込みやポテト、魚、バナナドーナツ、アフリカ風のカレーなどといったもので、どれも日本人である私の口にも大変よく合い、おいしかった。私は、入店するまでは正直、カメルーン料理という未知の対戦相手に少し脅えていた。奇天烈な食材や味付けの料理ばかりが繰り出され、なにも食べられずに帰ることになりはしないかという不安もあっただけに、出されたのが普通のおいしい料理ばかりだったのはうれしい驚きであった。

店内にはアフリカ大陸の地図が書かれており、カメルーンの位置にマークがしてある。そのそばにはサッカーカメルーン代表のユニフォームも飾られていた。背番号は9。すなわち、カメルーンの英雄、サミュエル・エトーのレプリカユニフォームである。欧州NO.1チームであるイタリアセリエAのインテルに所属する彼は、W杯本大会でも日本のゴールを脅かすことだろう。

そんなことを考えていたとき、頭上に大きなテレビが備え付けられているのを発見した。店長のジュディさんにこのテレビでW杯も観戦するのですかと聞いたところ、案の定イエスという答えが返ってきた。日本とカメルーンの試合が行われる14日には日本人とカメルーン人の客両方を呼び、この店をスポーツバー状態にして皆で試合を観戦する予定なのだという。なるほど、日本唯一のカメルーン料理店であるこの店は、日本人とカメルーン人が自然に交流できる数少ない場所なのかもしれない。

その後も店長のジュディさんにアフリカで開催されるW杯への思いを聞かせてもらい、最後に店を出る時、記念撮影をさせてもらった。おいしい料理と、率直な話を聞かせてくれたジュディさんに感謝である。対戦当日は大いに盛り上がることだろう。(47)

〔店長ジュディさんとの一問一答〕 Q.カメルーンと日本どちらが勝つと思いますか?
A.どちらが勝つかはわからない。カメルーンは強いけど、日本も強いから。日本は弱い、じゃないよ(というわけではないよ)。

Q.オランダはとても強いですが…
A.だけど、今回はアフリカでのW杯だから必ずサプライズが起こる。ストロングチームが負けることだってある。だから日本にもチャンスはあるよ。

Q.カメルーンはグループリーグを突破できそうですか?
A.わからない。どのチームが勝つかは私にはわからない。だけど、(アフリカ開催のW杯だから)必ずサプライズは起こるし、サプライズが起きて大会全体が盛り上がるのがベスト。(出場する)32チーム、どのチームにもチャンスはある。どのチームも目指すものは一つ、優勝でしょう。(カメルーンが勝って欲しいとかいうことよりも)とにかくサプライズがベスト。

敵の陣容を把握せよ! 高田グリーンランド遠征

あれは広大なネットの海を彷徨っていたときだったろうか。たまたまデンマークの自治領であるグリーンランドを検索していたところ、「高田グリーンランド」なる言葉が躍り出たのは。

それからというもの、和歌山県は新宮近くに忽然と出現した謎の自治領をめぐって激しい議論が連日連夜繰り広げられた。どうせデマだと言い張り黙殺する楽観主義者、高田グリーンランドの自治権を全面的に支持し独立に賛同する左派、日本国民に何の了承も無く自治領を僭称する反乱分子として武力排除せんとする極右、国家干渉を徹底的に拒否する無政府主義者、全体主義者、非暴力主義者、日和見主義者…相互の一方的なレッテル張りと噛み合わぬ論点は次第にかれらをいらだたせ、次第に本来の目的を失って自らの主張に固執させ、唯一生み出したものといえば永遠の平行線による無気力感と4共の地面に数メートル積もった各種攻撃ビラだった。

そしてある日、高田グリーンランドに乗り込もうとするものが編集部内に現れる。なんと車で5時間かけて行こうというのだ。反対の声が叫ばれる中、かれらはどうしても行かねばならない、行くなというなら縁を切るとまで言い切る。その無垢な、志に燃ゆる血気盛んな目を眼前に、反対論者達はふと、若者達はどうして純粋な「行動」へ駆り立てられるのだろうかという問いを浮かべたが、同時に、青春への懐古、ほとばしる若さへの羨望、そしてはなぜかしら応援したくなる熱っぽさに襲われる。風邪からくる朦朧ほど気分は悪くなく、美酒からくる酩酊とも形容し難い何か。それを理解しきったとき、論者たちの身には虚無感しか残らないにちがいない。「よし」。賛同は賛同を呼ぶ。期は熟した。

車は1号線に乗り、名神高速道路を進む。和歌山県に入り高架を降りるとそこに広がる森、森、森。グリーンランドの面目躍如と言わんばかりのグリーンである。京都を発ち5時間、ついに高田グリーンランドへ着いた。「いらっしゃいませ」流暢すぎる日本語、日本人としか見えないデンマーク人。目に飛び込む言語も、話されている言語も日本語。ここは本当に自治領なのだろうか、もしかするとただの温泉旅館なのか。認めたくないが仮に温泉だとすれば合点が行くのだが…。そうか、在グリーンランド日本人の自治領だったのだ。我々は間違っていなかった。そうに違いない、そうに違いないのだ。たとえ実際は温泉旅館だったとしても。(鴨)

〔以下はグリーンランド人との一問一答〕 Q.すいませーーん。すいませーーーん。(従業員の方が出てきて)あの、ワールドカッ…
A.温泉ですか?温泉は夜10時までとなっておりまして、バスタオルはこちらでお貸しします。入浴の際鍵はフロントにお預けください。なお明日のチェックアウトのお時間は…

敵の得意技を探れ! オランダ風ワッフル店調査

メントスというお菓子、チーズ、サッカー、もしかしたらオランダ人は丸いものに携わるのが得意なのだろうか?そんなことを考えて阪急の六甲駅に行った。そこの近くに最近サッカーボールの形をしている蘭菓子を食べられる店が出来たという。ワッフルハウスという店だ。店の近くまでくると、焼き立てクッキーの香りが漂っていた。

この店は日本で唯一、焼き立てのストロープワッフル(オランダ風ワッフル)を食べられるところだ。ベルギーのワッフルとは全然違うものだ。ふわふわしていない、薄いワッフルの中に暖かい柔らかいキャラメルのコアがある。

主人のマルコさんとヨシコさんは今年の四月にこの店を開店した。多くの通勤中の学生さんが店に来る、オランダ人のお客さんもいる。在日オランダ人はワッフルを焼く以外に何の仕事をしているのだろうか。

例えば、この店で出会った在日オランダ人、ロブ・セルファイスさんは神戸でサッカーコーチをしている。ちょうどいい機会なのでロブ・セルファイスさんにW杯について話を聞いてみた。(々)

〔以下はセルファイスさんとの一問一答〕 Q.オランダ代表は今大会どこまで勝ち進むと思いますか?
A.今回のオランダ代表チームは大変質の高いチーム。特にオフェンス。準決勝までは恐らく行けると思います。

Q.オランダ代表の注目の選手は誰でしょう?
A.スナイデル選手とロッベン選手はここのところよく試合に出ていてキレもいい。
ファン・ペルシー選手は負傷から回復し、力強さをより備えて復帰してきた。

Q.やはりオランダ代表は日本代表に勝つと思いますか?
A. 普通ならオランダが勝つ。(昨年行われた)親善試合ではオランダが3-0で勝ったが、日本のチームが強かった(いいプレーをした)から、オランダが日本を見くびることはない。

Q.オランダは大変な強豪国ですが、意外なところで足をすくわれるのではないかという心配はありますか?それとも万全の態勢でしょうか?
A. オランダ代表のメンバーは皆、優れた選手だが、(アフリカという)環境には慣れていない。気候とか標高、知られてないスタジアムなど(が待ち構えている)。しかし、グループステージまでにこれらに慣れる時間がある。確かにアフリカの国が有利だし、アフリカの国が勝つこともあると思いますが、それがカメルーンでないことを望む。