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木造人工衛星 宇宙に放出 電波受信できず努力続ける

2024.12.16

木造人工衛星 宇宙に放出 電波受信できず努力続ける

国際宇宙ステーションから放出された3基の衛星(写真提供 JAXA/NASA)

12月9日20時すぎ、京大と住友林業株式会社が開発した世界初の木造人工衛星「LignoSat(リグノサット)」が国際宇宙ステーション(ISS)から宇宙空間に放出された。総括責任者の土井隆雄特定教授によると、衛星は10日に運用を開始する予定だったが、11日時点で、衛星からの電波が受信できておらず、受信するための努力を続けている。

衛星は11月5日、スペースX社のロケットでアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターからISSに輸送された。宇宙飛行士によって放出ケースに収納、船外に搬出された後、「きぼう」日本実験棟のロボットアームで放出位置に移動。筑波宇宙センターからの指令を受け、他大学等が開発した2つの衛星とともに宇宙に放出された。

JAXAによると、ISSから放出する方法は、ロケットから直接軌道に投入する方法に比べ、震動等の条件の緩和、打上げ回数の増加というメリットがある。

世界初の木造人工衛星であるリグノサットには、宇宙での木材の利用可能性を解析する目的がある。そのために衛星本体のひずみや内部の温度変化、宇宙放射線が内部のシステムに与える影響を計測するほか、社会貢献の一環として、アマチュア無線家との交信も予定している。

衛星は1辺約10㌢角、重さ約1㌔の超小型で、地球の周囲を周る比較的低い軌道に投入された。11日時点で、衛星からの電波は受信できていないが、土井特定教授によると、通常、超小型衛星からのデータ受信は難しく、1週間から1ヶ月かかるという。

1号機は約3ヶ月で大気圏に突入し、来春に運用を終了する。開発チームは現在、木造人工衛星の2号機を開発中で、2号機を2027年、3号機を29年、実用低軌道通信衛星として4号機を31年に打ち上げる計画を立てている。