仏教的視点からの科学者の生き方(2010.01.16)

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12月19日、吉田南総合館北棟でセミナー「如何に生きるべきか-仏教が説く実戦哲学と禅僧道元の人生訓を中心に-」が開かれた。同会はインテグリティセミナーシリーズと題されたシリーズの第4回目。講師は駒澤大学仏教学部教授の角田泰隆氏。曹洞宗大本山永平寺にて1年半にわたる修行の経歴を持つ。

本セミナーシリーズは科学者の生き方や在り方を示す事が目的であるが、なぜに禅僧が呼ばれたか。利益や結果を求めずに研究に打ち込むという科学者の本来あるべき姿と、禅師道元の教えに少なからぬ共通点を見出したためにiCeMS(京大物質-細胞統合システム拠点)拠点長の中辻憲夫氏が呼んだとの事。本セミナーシリーズの第1回から第3回まではiCeMSの主催による。

講演は3段構成。仏教的視点からみた世界観、仏教が語るこの世界の生き方、仏教者の禅僧道元の語る人生訓からなる。

まず仏教からみた世界観では、この世の全てはうつろいゆく、この世の全ては他のものとの関わりあいにより存在する、すべての変化はある法則に従う、という。その上で、人生で起こることは全て偶然、またはその逆に、起こることは全て神または宿命により決定されている、といった考え方は人間の積極的意欲を奪うものであり、仏教はこれらの視点を肯定しない。仏教によればあらゆる結果には原因と条件があり、人間は良い結果を得るために原因の確立や条件の整備に積極的な努力を傾けるもの、として締めくくった。

次に仏教が語る世界の生き方。死後や宇宙の広さといった認識不能の事柄を問題とせずに、老化や病の苦しみなど現実問題の解決を第一の目標とする。それら現実問題の解決においては苦悩の分類、その苦悩解消のための「正しい見解」「正しい意志」から始まる8つの実践、題して四諦八正道説を用いる。そして道を修めていく過程における中道の重要性、享楽にも過ぎず苦行にも過ぎず。これらが仏教による生活実践の教えである。

以上、仏教の語る世界と人生の送り方を基礎として禅僧道元の人生訓に話が移る。現代科学者の理想の姿に通ずるものがある、とiCeMS拠点長中辻氏が語った、本講演のメインパートである。ここで取り上げられた道元の12の説話から導かれるのは、自分の見方や価値観が必ずしも正しくはない、発現や行動は慎重にすべき、一つの事に熟達せよ、よい環境を選べ、外面を飾るな、「今」「ここで」を大切に、能力よりも志と努力が大切、慈悲を持ち他に接する、言い争いをしない、人のために真に善くなる行いをする、無常を受け入れ私心に執着しない、ただ自分の役割を果たす、といった項目である。それぞれの説話について禅僧の著した思想書からの引用文とともに説明が加えられた。

講演の終わりに角田氏が恩師から送られた漢詩を読み上げた。出家して自由を得た禅僧の心の開放感を詠った漢詩であった。

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