欧州における能の受容 多文化交流フォーラム(2010.01.16)

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昨年12月19日、国際交流セミナーハウス(j-Pod)で第15回多文化交流フォーラムが開かれた。このフォーラムは国際的な文化交流に関するトピックを取り扱い、今回のテーマはヨーロッパ文化における能の受容である。講師はペンシルバニア大学准教授の加野彩子氏、主催は国際交流センター。

加野氏はアイルランドの詩人で劇作家のイェーツ、ドイツの教育劇作家ブレヒト、イギリスのオペラ作曲家ブリテンに焦点を絞って講演した。3人は自らの芸術を表現するために能に着目し、その要素を抽出したのだが、その受容の仕方は三者三様である。まずイェーツやブレヒトは能の謡曲(台本)に影響されていくつかの劇を書いたが、ブリテンは日本の伝統的な無常の価値観を吸収するだけでなく、能特有の舞台『橋掛り』などの演出方法も取り入れた。またイェーツ、ブレヒトはテキストの翻訳を通してしか能に触れていないため、彼らのイメージする『能』と実際に演じられる能の間には大きな差異がある。一方のブリテンは何度も実際の能を見ているが、彼は能の仏教的思想をキリスト教に置き換えようとした。さらにオペラという表現形式では能の物悲しい静かな終幕を再現できないため、最後には救済がもたらされる。ここでも能の変容が起こっているのである。

最後の質疑応答の時間には、「ギリシャ古典劇でも能と同様に仮面を着けることがよくあるが、これと能との関連はどうなのか」など、活発な議論が交わされた。

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