21世紀の科学を語る ダーウィンの進化論と複雑系の法則(2009.07.01)

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6月26日、百周年時計台記念館にて、慶応義塾大学名誉教授米沢富美子(ふみこ)氏を招いた京都大学未来フォーラムが開かれた(米沢氏は下の写真で左側)。米沢氏は京都大学理学部の出身で、アモルファス研究などで多大な成果を上げ、複雑系や科学史などに関する書物も多数著わしている物理学者である。今年は、進化論の父である生物学者C・R・ダーウィン生誕200周年と、代表作「種の起源」の刊行150周年であり、それを記念して「21世紀の科学―ダーウィンの進化論と複雑系の法則」と題した講演が行われた。

米沢氏はまず、突然変異と自然選択からなる、ダーウィンの進化論について分かりやすく説明。特に自然選択における、生存競争(生きるための努力)と適者適存についてとりあげて、生物は単独では生きていけないものであり、他の多くの種から圧力を受けたり、住み分けや食い分けをするなかで、共進化や累積淘汰(累積選択)が行われることを述べた。

続いて、デカルト以来の「自然はシンプルである」という考えに基き、各要素の和によって事象を説明する要素還元論が、物理学や生物学における、マクロとミクロの世界を明らかにしてきたことを示した。メンデルの法則や、DNAの二重らせん構造の発見が生物学の発展に貢献したことに触れる一方、物理学が巨大な宇宙から微小な素粒子までの幅広いスケールを解明してきたことをスクリーンで表した。

その上で、生命、生態系、気象、経済、国際政治、人間の脳といった、複雑で各要素の和から説明できないシステムや現象を取り扱う複雑系の学問が、21世紀に科学革命を起こすと米沢氏は訴えた。そこで、複雑系の学問が要素還元論を包含しながら、創発性や自己組織化の考えをとりいれることを説明。説明によると創発性とは、例えば生命が臓器や細胞組織、さらに遺伝子、原子・分子へというように、階層的に細かい要素に分けたとき、細かい要素が集まった大きな要素では、細かい要素には無かった性質が現れることをいい、自己組織化とは、あるシステムが自らを組織化するようになることや、混沌状態の中から複雑な構造が自立的に形成されることをいう。米沢氏は、ダーウィンの進化論における自然選択や累積淘汰の考えが、複雑系における創発性や自己組織化の考えと類似する概念であり、宇宙におけるすべての生命の存在理由をこれらによって説明できる、と述べて講演を終えた。

講演のあと、理学部時代から共に支えあってきた物理学者、坂東昌子氏(元・日本物理学会長)から花束が贈呈され、著書のサイン会が行われた。

《本紙に写真掲載》

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