吉田寮建て替えを含む大規模改修 吉田南構内再整備案、提示される(2009.05.01)

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4月24日学生部にて、西村周三・理事副学長(教育・学生・国際(教育)担当)、大西有三・理事副学長(施設・情報担当)、川添信介・学生部委員会第三小委員長らが、あらかじめ吉田寮自治会へ提示していた「吉田南最南部地区再整備・基本方針(案)(以下「方針案」)」について説明会を開いた。築96年を迎える吉田寮の建て替えを含むため、方針案で大きな影響を受ける寮生ら、数十名の学生に説明した。(魚)



昨年10月に学生担当の副学長が東山氏から西村氏に交代したことに伴って、吉田寮自治会は大学当局と確約(※)の引継ぎに向けた折衝を重ねてきた。その中で西村副学長から「吉田寮の老朽化は深刻に捉えている。現吉田寮の補修は財政的に不可能なので新寮への立て替えをすべきでは」との提案がなされた。自治会は、新寮に立て替えるとしてもまずは確約を引き継ぐのが先であると折衝を進めていたが、4月20日に西村副学長から「方針案」が出され、この日の説明会に至った。「方針案」はその対象範囲が吉田寮にとどまらず、吉田南構内の最南部一帯に渡る大規模なものとなっている。

今後はこの「方針案」で特に影響を受ける吉田寮自治会との団体交渉を通して、徐々に方針を具体化していく見込みだが、寮と大学の基本関係や、入退寮選考といった寮自治の根幹に関わる部分も俎上に上がっているだけに、交渉は長期化が予測される。


整備案の概要


①吉田国際交流拠点施設

学術情報メディアセンター南館西側の現テニスコートを移転し、外国人研究者や留学生が研究・教育の拠点として使う「吉田国際交流拠点施設」を建設する。これは留学生30万人計画など、大学の国際化が求められる中その拠点と位置づけられるもので、西村副学長は「この施設は京都大学が国際化していく上でも必要なもので、吉田寮との合意が得られなくとも建設はしたい」と強い意欲をにじませた。早ければ5月末までに、2010年度予算の概算請求を文部科学省に行い、3年以内の完成を目指している。


②新吉田寮A棟

1996年に吉田寮食堂の一部が火災焼失した後、残った広場「焼け跡」=学生の自主活動に現在利用されている=に新吉田寮A棟を建築する。

その際、現吉田寮に居住する全寮生が移転できるよう、現吉田寮の定員147名よりA棟の収容人数を多くする。西村副学長は「寮単体の修繕とか立替えといった福利厚生施設の場合、国の予算は下りないのだが、一定の比率で留学生も居住できるということを明確にしておけば、国際交流拠点と新A棟を合築にすることも出来る。そうすれば国の予算も一部使うことができるので合理的だ。無理にとは言わないが国際交流拠点とA棟は一体に整備を進めたい」と語った。しかし合築の実現には、概算請求の締め切りである5月末までという短期間で、大学当局・吉田寮自治会間での合意が必要となる。


交渉は難航か


③新吉田寮B棟

新吉田寮A棟に現吉田寮生の移転が完了した時点で、現在の吉田寮を取り壊し、そこに新吉田寮B棟を建設。AB棟合わせて新吉田寮の定員は300名以上になる見通し。B棟には「これまでの学生自治の歴史を称え、未来に継承するため」何かメモリアルとなるものを作ることを計画しているという。

ただ、新寮のあり方について西村副学長は「私としては自治寮というのは、学生の教育上も有意義なものではあると考えているし、もっと発展させていきたいと思っている」と述べ、その意義を認めながらも「新築をすれば入寮希望が殺到することが大いに考えられる。そうなった時に機会の公平性を確保するため、例えば在寮年限は原則2年が望ましいのではないか」と入退寮権について大学当局の意向も反映させる形が望ましいとの見解を示した。

さらに「寮に関する全てを現寮生の好きにさせるという現在のままの確約では、社会に向け説明責任を果たすことができない。ある程度は大学の管理権を明確な形にした確約を結ばせて欲しい」とも述べた。これに対し吉田寮側は「これまで寮自治会が獲得してきた確約やその理念と照らして考えると、今回提示された諸条件のうち、受け入れがたいものがある。福利厚生施設としての質の維持・向上のためにも、現時点で寮自治会が提出している確約の内容を認めてほしいと考えている」と主張しており、双方の交渉は難航が予想される。

また京都大学全体の長期的なビジョンとして、寮の収容人数を増やして行く方針があり、新寮建設に適当な場所を現在探していることも明らかにされた。


④通路延長

現在吉田南3号館前で行き止まりとなっている構内通路を、現在の吉田寮を貫くかたちで延長し、交通の便を向上させる。大西理事によると、吉田キャンパス全体を南北に貫く緑地帯構想の一環とし、通路周辺は広く市民一般が楽しめる緑地帯にしたい、とのこと。


⑤学生集会所

築98年が経ち老朽化が著しい学生集会所を、代替施設を確保した上で取り壊す。関係サークル団体(BOX連合)と話し合いが進められているという。

吉田寮付近一帯の再整備は、大学当局の長年の懸案であり、近年では06年に東山紘久副学長(当時)が吉田寮自治会へ「吉田寮立て替え案」を提示するも、合意に至らず流れている。今回の「方針案」は西村副学長の就任以降、西村・川添両氏を中心に作成したものだが、「この方針案は、大学の中での決定事項ではない。あくまでもこれからの議論のたたき台であり、学生との話し合いの中で案が大きく修正されることも当然ある」と述べた。


(※)吉田寮の管理・運営に関する寮自治会と大学当局間の基本的な取り決め。学生担当の副学長が交代する際に引き継ぎの交渉を行っている。


《本紙に概要図を掲載》

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