〈生協ベストセラー〉 森見登美彦著『夜は短し歩けよ乙女』(2008.12.16)

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京都大学卒の森見登美彦作の京都を舞台とした不思議恋愛物語。この本は第20回山本周五郎賞に選ばれ、また2007年本屋大賞2位になった話題の作品である。

主人公は、自由奔放な大学生、黒髪の乙女と、その彼女に恋する先輩の二人。物語は、黒髪の乙女とお近づきになりたいがために彼女を追いかける先輩が、彼女を追いかけるが故騒動に巻き込まれてしまう話である。

丁寧言葉語りの乙女と、である調語りの先輩の2人でこの物語が進められる。話は全4章からなり、3章は、夜の先斗町、古本市、学園祭が舞台で、残りは風邪の大流行の話で締めくくられる。章ごとに独立したドタバタ話が特徴で、全体を通しては先輩の恋物語として読むことができる。

この作品が一風変わった作品であることを個性豊な登場人物を紹介することでわかってもらいたい。願掛けのためパンツをはきかえないと誓ったパンツ総番長。古本の世界で起こるあらゆる不思議を統べる古本市の神様。学園祭の出し物で「象のお尻」を制作した須田紀子。愛する鯉達を竜巻で失った東堂などであるといった具合である。

そして主人公はというと、彼女は困っている人に手を差し伸べる優しく清らかな性格であるのだが、かなりの天然である。先輩が「偶然」という名の待ち伏せをして彼女と会っているが、彼女には本当に「偶然」にしか見えていないのだ。また、夜の先斗町に出向き、見ず知らずの人とお酒を共にしたり、大きな緋鯉を担いで構内を闊歩したり、「象のお尻」を魅惑的と称する変わった人物である。そんな彼女に恋する先輩には苦労は耐えないが、根性で彼女を追いかけている姿を渡しは微笑ましく感じた。

そんな彼らが登場する物語に何も起こらないはずがない。鯉が空から降り、先輩が大学の校舎から落下し、古本市では本争奪戦が繰り広げられる。なぜそのようなことになるのかは、本を手にとって読んでほしい。読んでみると奇抜な行動の理由がわかるはずだ。そして読むにあたって彼らをどのように見るのか。「変人」として突き放して見るのか、それとも「少し変っているがおもしろい人」として見るのかで、この本の面白さは変わってくる。もちろん後者で読む方が楽しめるであろう。(碧)

《本紙に写真・ランキング掲載》

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