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旧第三高等中学校物理学実験場

2006.04.16

学生部棟を裏手にまわると、簡素な煉瓦造りの建物が目に入る。旧第三高等中学校物理学実験場(一八八九年竣工)は、学内に残る最古の建造物。第三高等中 学校の本館や寄宿舎はすでに現存しないが、当実験場と同じ意匠で造られていたというから、当時の構内の様子を豊かに思い描くこともできる。
一つひとつの煉瓦が歴史の重みを染み込ませているかのよう。ところどころに枯れた蔦が這い、わずかに苔が生したさまは、威厳をも感じさせる。
京都帝国大学の創立後、物理学実験場は物理学及数学教室として増築。現在の学生部棟の原型をなす。旧来の物理学実験場にあたる部分は、国際交流センターとして、今もなお現役で使用されている。
現在、旧物理学実験場の隣では、また何か新しく建てられるのだろうか、柵がはられ、工事が進められている。新旧の建造物が共存する構内の様子は、調和がとれているとは世辞にも言いがたいが、京都大学の長い歴史を雄弁に物語っているには違いない。

旧第三高等中学校物理学実験場