おうばくプラザで変わるか 宇治キャンパス(2008.10.16)

Filed under: 企画類
????????????????????
法人化後のアクションプランで、学生交流施設の整備が進められている宇治地区。初めての教育施設は宇治にどんな影響を与えるか。

8月26日、京都新聞に「建設費膨張で計画を変更 京大宇治キャンパス交流施設」という記事が載った。記事では、宇治キャンパスに建設される予定の「おうばくプラザ」が石油価格の高騰による原材料費の値上がりなどによって、計画変更を余儀なくされていることを報じていた。このプラザの建設計画の目的はそもそも何か、これによって宇治キャンパスはどう変わっていくのか。宇治へと向かった。(ち)


うっそうとした緑のなかに、研究所の施設が無造作に林立している、標識もあいまいでどこを指しているのか分からない…宇治キャンパスについて、そうしたイメージを持つ人も少なくないだろう。おうばくプラザ建設は、宇治キャンパスの一つのシンボルとして、その見取り図を描くきっかけになるかもしれない。

現在、宇治キャンパスでは耐震補強工事とプラザ建設のための事前準備が進んでいる。京阪・JRの黄檗駅に道を隔てて接する東側は、工事用の防護壁で囲まれ、事業許可が下りればすぐ工事ができるように準備されている。本館のすぐ東に隣接するこのスペースに、おうばくプラザが建つ。

プラザの建設の目的は2つある。①宇治キャンパスの院生が集って交流する、②研究成果を発信するための学会や国際会議を開く、の二つだ。建設は2007年に発表された全学的経費「重点事業アクションプラン06~09」の学生支援事業の一環として計画された。

どんな施設が建つのか。国際会議が開ける300人収容のホールや会議室、産学連携スペースのほか、福利厚生としてレストラン・コンビニが入る。キャンパス東側を覆っている市道に沿った白い壁を取り払い、地域住民が利用しやすいようにする予定だ。

▼▽寄り合いのキャンパス


もともと宇治キャンパスは大学院生用の教育施設がほとんどなく、化学研究所・エネルギー理工学研究所・生存圏研究所・防災研究所・・・などの研究を主たる目的とする附置研究所の寄り合いでできたキャンパスだった。

大学院重点化で附置研究所の大学院教育への協力体制が築かれたものの、いわゆる「教室」のない宇治キャンパスの大学院生は、大学院の講義をすべて吉田キャンパスで受けなければならなかった。研究目的の建物や施設しか置かれていないため、院生間の交流の場がなく、「生協の食堂で遅くまでしゃべっている状態」(おうばくプラザ実行委員長・河田惠昭教授)だったという。

施設が全て研究目的ということは、研究成果の発表の場を小規模なものはともかく自前では持たないことを意味する。学会や国際会議のさいは、京都市や宇治市のホールを借りるなど外部の施設を利用して対応してきた。サスティナビリティなどのプロジェクトが研究所間をまたいで進むなか、学際研究の場としての利用も視野に入る。あまり知られていないが、宇治キャンパスは七大学で「のぞみ」が停車する新幹線の駅に最も近い。その立地の良さを今まで生かせていなかった。

▼▽将来構想は


現在、宇治キャンパスには1000人の院生と500人の教職員がいるが、初めての教育目的の施設となる。吉田や桂から院生が来やすくなるのではないか、と実行委は期待を寄せる。

将来的には、桂キャンパスと同様に、中小企業基盤整備機構のインキュベーション・センターを誘致し、プラザとセンターの2つの建物が軒を連ねる予定。センター建設のためのつなぎとして、プラザに産学連携スペースを設ける。地元振興策として宇治市も期待を寄せており、東側の市道の整備と併せて、大学と地域が混然となったゾーンが形成されることになる。

京都新聞の報道で不足していたとされる残り5000万円の予算も、寄付によって少しずつ集まってきたところだという。屋上緑化の中止など、計画の変更は、予算が確保できた場合に整備することで対応する。

▼▽法人化を利用した措置


今回のおうばくプラザ計画は、国立大学が法人化することによって初めて可能となった。宇治キャンパスにも交流施設が必要だ、とは以前より言われ続けてきたが、実際に建設に至ったことはなかった。法人化後、役員裁量の大きい全学的経費を利用することで、建設はようやく軌道に乗った。これは法人の自由裁量を活かした好例だと見ることができる(※)。

だが、建設それ自体はスタート地点にすぎない。月並みだが、利用されてこその施設、である。おうばくプラザは、宇治の風景をどのように変えていくのだろうか。
 
※一方、附置研究所側からは次のような指摘もある。「旧国立大学が法人化したことによる財政上の大きな変化により、従来附置研究所が担っていた様々な役割が、予算上は大学運営費交付金として法人の自由裁量に任される、と言う美名の元に十分手当てされておりません。国として最低限保持すべきである施設、設備、資料、史料の管理、更新、増強がほとんどなされていません」(清水元治 国立大学附置研究所・センター長会議会長「会長挨拶」より)

《本紙に写真掲載》

トップページお問い合わせサイトポリシー著作権について個人情報の取り扱いについて
京都大学新聞社 〒606-8317 京都市左京区吉田本町 京都大学構内 TEL:075-761-2054(直通) 075-753-7531(内線2571) FAX:075-761-6095