京大病院、肺移植手術を再開 脳死肺移植は含まず(2008.06.01)

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京都大学医学部附属病院は5月20日、06年3月に行われた手術ミスをうけ自粛していた肺移植手術を再開すると会見で発表した。再開は5月2日に京都大学「医の倫理委員会」からの承認を受けたものであるが、この承認は生体肺移植の総論に関するものであり、脳死肺移植は含まれていない。また、今後の手術は症例ごとに医の倫理委に申請し、実施することになり、現在も1名の生体肺移植の実施が申請されている。

肺移植手術の自粛は06年3月21日、脳死肺移植手術の際に人工心肺装置が機能しているかを示すモニターを確認しないまま、人工呼吸器を取り外したミスがあったことを受けたもの。患者は同年10月に死亡しており、今年3月には手術に関わった医師3名が業務上過失致死の疑いで書類送検された。

肺移植手術は呼吸器外科、心臓血管外科、麻酔科などを中心に多くの診療科が関わる手術である。ミスの背景にはチーム内の連携不足が指摘されており、責任分担が明確でなかったという。

京大病院では、07年3月31日定年退職した呼吸器外科和田教授の後任として、同年10月に岡山大学から伊達洋至教授が着任した。伊達教授は国内で初の生体肺移植を執刀しており、執刀数も国内最多の99件である。生体肺移植の5年生存率も9割と高い。

着任後、伊達教授を中心に肺移植チームを結成し、術中の指揮命令系統、責任分担の明確化、不測の事態への対応方針などを定めた「肺移植手術におけるレシピエント安全管理指針」を作成した。その後、実際の肺移植手術を想定したシミュレーションを3度行っている。2月14日には問題となっていた連携体制が確立されたと判断し、医の倫理委に移植再開の申請をした。倫理委では、肺移植問題検討小委員会を立ち上げ審査を行い、3度目のシミュレーションに立ち会い、安全管理が十分で、再開の体制が整っていると判断し、5月2日に再開を承認した。

承認は生体肺移植の総論に関してであり、実際の手術には個別の許可申請を必要とする。また術前に十分な準備が可能である生体肺移植とは違い、脳死肺移植は迅速さが求められるため、生体肺移植での経験をみて改めて検討される。

京大病院にはすでに複数の肺移植希望患者の相談がある。再開1例目としては、早期の肺移植を要する閉塞性細気管支炎の患者の手術の申請が医の倫理委員会に申請されており、承認されれば6月上旬にも手術が行われる予定である。

自粛から再開まで2年以上の期間を要したことについて、一山智副院長は「呼吸器外科、心臓血管外科の教授が退職したため、本格的な準備が伊達教授の着任後となった。妥当な期間ではないかと思う」と話した。

伊達教授は「京大に来たのは悩んだ上で決めたことだったが、ぜひ再開1例目をスムーズに終え、信頼を回復し、自慢できるチームを作りたい」と語った。

《本紙に写真掲載》

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