知的好奇心を軸足に研究 沼田英治教授 最終講義(2021.04.16)

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3月12日、3月末で退職となった沼田英治・理学研究科教授の最終講義がオンラインで行われた。講義内容は、自身の生い立ちから始まり、京大の学生として過ごした日々、沼田氏の専門である昆虫の生理学・行動学の研究、学生や研究者へのメッセージなど、広範にわたった。

沼田氏は京大理学部を卒業後、大学院ではアゲハチョウの光周性の研究をした。光周性とは、生物が1日の日長に対応する性質のことであり、アゲハチョウでは日長が長いと非休眠蛹になり10日ほどでチョウになる一方で、日長が短いと休眠蛹になったという。その経験が、沼田氏の代表的な研究であるホソヘリカメムシの光周性や概日時計の研究につながったと述べた。

沼田氏は京大で学生として10年間過ごした後、大阪市立大学助手に着任した。自分一人で実験をして論文を書くことは楽しかったが、それ以上に、大学院生と一緒に研究し、院生が論文を書けるようになることが面白かったと述懐した。院生の論文を直しているときが一番楽しい時間であったという。

大学の講義において重視すべきこととして、教員の話した内容について、学生がノートを取ることを挙げた。資料を印刷するだけでは不十分で、手を動かして自分なりに整理することが大事だと述べた。また、学生の理解度を教員が把握することも重要だと指摘し、沼田氏が京大で担当した理学部専門科目の「動物行動学」では、毎回学生に質問票を提出させ、全て読んだうえで次回の講義までに回答したと述べた。

京大生へのアドバイスとして、「人と違ったことをする」という世の中の京大生のイメージに縛られず、自然に研究した方が良いと述べた。「無理矢理作るのは個性ではなく、個性は内から生まれてくるものだ」と話した。研究者に対しては、「研究をすることが幸せであることを隠さないでほしい」と述べた。研究者を目指す学生が減っている現状を踏まえ、好きなことを続けられる喜びを研究者自身が表現すれば、後継者が現れるだろうとした。

沼田氏は、知らないことを知りたいと思うのは人間の本質であるとしたうえで、研究の軸足は常に知的好奇心に置いてきたと話した。目の前にあることに夢中になって研究をしてきたのが自身の人生であり、本当に幸せだったと述べた。「自分が好きなことだけをしてきたことを見守ってくれた周囲の人に感謝したい」と述べて講義を締めくくった。

沼田氏は、昆虫生理学・行動学が専門である。京大理学部を卒業し、大阪市立大学の助手、講師、助教授、教授を経て、2009年から京大理学研究科教授に着任。国際昆虫学会議評議員や日本昆虫学会会長を歴任した。(凜)

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