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湊新総長が就任 「自由の伝統」強調

2020.10.01

10月1日、湊長博氏が第27代京都大学総長に就任した。前日の9月30日には、山極総長ならびに理事の退任式と総長引継式が行われた。新総長は2日、時計台記念館2階で会見を開き、「自由を重んじる知的伝統を堅持しつつ、研究・教育の理念を時代に合わせて具現化していく」と今後の抱負を語った。
 
会見で湊総長は、研究の自由を重んじることが京大の伝統だとし、それを引継いでいくと強調した。研究型大学として、独創的な研究を担い、成果を社会に還元していくことが京大としての使命だと述べた。また、2万3千人の学生を抱える大学として、教育によって「健全な世界市民としての素養を身につけ、様々な社会領域において新しい価値を作り出していく探索型、開拓型の人間を育てたい」と語った。

湊氏はこれまで「自由と多様性が京大の強み」と繰り返し語ってきた。会見では、ジェンダーバランスなど構成員の多様性について、「理想には程遠い状況」との認識を示し、対応を「強力に進める」と意欲を示した。「具体策はまだ検討していない」としつつ、本部が主導する教員人事によって改善を図る方策もあり得ると述べた。

総長は、理事8名を新たに選任した。プロボストに指名した村中孝史氏については、「全学を見渡せて、様々な課題を集約し、執行部へつなぐポジションとして、非常に良い人材」と期待を示した。

「情報開示が必要」 学術会議人事を巡り

日本学術会議の新会員について、学術会議が推薦した候補105人のうち6人を菅義偉首相が任命しなかった問題についての見解を問われた際には、「現時点では、公的な見解が出されていない」として意見を表明するのは避けた。「何が起こっているのか、情報をすべて、国民並びに科学者の世界に開示していただくことが必要」と述べ、学術会議・政府双方の情報開示が意見表明の前提となるとの考えを示した。また、一般論としては「学問の自由は保障されるべきである」と述べ、今年6月の科学技術基本法改定によって、人文・社会科学が振興の対象として新たに盛り込まれたことを「非常に良いこと」と評価した。