1日乗車券で行く 叡山電車旅行記(2019.04.16)

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京大の最寄り駅である出町柳を発着駅とする叡山電車には、1日乗車券「ええきっぷ」というお得なカードがある。1枚1000円のこのカードを使えば、一日中、叡電に乗り降り自由になる。今回、編集員が1日乗車券を使って京都洛北を満喫する旅に出た。春の京都観光がしたいという読者に一案をお届けできれば幸いである。(村)

出町柳を出発

1日乗車券を工夫して使えば、たくさんの観光地を訪れることができる。中には、1日乗車券を提示すれば割引されたり記念品がもらえたりする場所もある。今回、早朝や夜でも楽しめる場所や入れる時間が限られている場所を下調べした上で、午前7時頃、出町柳駅を出発した。

鞍馬

まず、途中下車せず終点の鞍馬へ。鞍馬寺と貴船神社は、早朝から参拝できるためだ。鞍馬寺の金堂へは、駅の近くにある仁王門をくぐってから二通りの行き方がある。一つ目はケーブルカーだ。仁王門のすぐ北から途中の多宝塔まで乗り、そこから金堂を目指すことができる。ただ、ケーブルカーは1日乗車券の対象外で、別途片道200円がかかる。そこで、もう一つの選択肢として試しに歩いて登ったところ、20分ほどかかったが、途中に由岐神社があるなど単調な道ではなかったためか、思いのほか近く感じた。

●鞍馬寺
鞍馬山の中にあり、天狗や源義経にまつわる伝説が有名。
【特典】愛山費(拝観料)300円から100円割引

貴船

貴船神社は、貴船口駅から遠く、坂道が続く。そのため、貴船口から歩いて登るのではなく、鞍馬寺金堂の奥へ進み、坂を下りて西口から出て向かうほうがよいだろう。そうすれば、貴船口駅への長い道のりは下り坂を進むことができる。それでも30分ほど歩くことになるので、別料金を惜しまないならば、駅までバスに乗った方が良いだろう。

●貴船神社
貴船の川床が有名な避暑地となっているほか、貴船神社は縁結びの神社として知られる。
【特典】便箋がもらえる

二ノ瀬 ・市原

一駅戻って二ノ瀬で降り、白龍園という庭園へ向かった。6月16日まで春の特別公開が開催されており、1日乗車券を使うと300円お得になる。

続いて市原では、織物文化館へ。ここは、川島織物セルコンという会社が運営する博物館である。

●白龍園
京都に本社を持つ子供服専門店の創業者が、荒廃していた霊域を守るべく、神社を含む庭園を設計した。重機の入れない山の中を社員や地元住民が長い時間をかけて整地し、1963年に白龍園として完成した。
【特別公開期間】6月16日まで、各日10時-14時
【休園日】4月7日・24日・25日、5月8日・9日・29日・30日、6月5日
【入園料】大人1300円
※出町柳駅では、叡電1日乗車券とセットで2000円になる「白龍園特別観覧きっぷ」が販売されている。

●川島織物文化館
国内外の染織品や古書を貯蔵する国内最古の企業博物館。見学の際は電話での予約が必要となる。
【電話】075・741・4120
【開館時間】10時-16時30分(土日祝は休館)

二軒茶屋 ・京都精華大前

次の二軒茶屋駅から20分ほど歩くと、サン・ウッド市原アーチェリーレンジというアーチェリー場があり、月に1回体験会が開催されている。ただ、1日乗車券を使って立ち寄るよりは、ここを目的地に終日楽しむ方が良いかもしれない。

精華大学前駅付近は、駅名にある精華大学関連施設のほか、駅から5分ほど歩くと更雀寺がある。そこから10分ほどで定信院という浄土宗の寺院に着き、そのすぐ近くには総合地球環境学研究所という施設もある。

八幡前

後述する理由で木野駅を飛ばし、三明院を目指して八幡前駅で降りた。東へ歩くとすぐに赤い多宝塔が見えてくる。ただ、スマートフォンのナビ機能に頼った私は大回りすることになり、塔が見えているのになかなか着かなかった。実は別の行き方があった。三明院へは、同じく駅の近くにある三宅八幡宮を出た道からも行くことができ、そのほうが近い。

●三宅八幡宮
小野妹子がこの付近に住み、宇佐八幡宮の八幡神を祀ったと伝えられているほか、子どもの守り神として知られる。拝観料は無料。

●延壽山三明院
赤い多宝塔が印象的な寺で、弘法大師などを祀っている。拝観料は無料。

岩倉

岩倉駅から住宅が並ぶ道を進み、岩倉具視幽棲旧宅を訪れた。岩倉具視が京都を追放された後約3年間暮らしていたというこの旧宅には、貴重な遺品が展示されている。
岩倉駅から北へ徒歩2分のところに「ブレーメン」というパン屋があり、1日乗車券を提示するとラスクがもらえる。メロンパンやサンドウィッチから、ピロシキパンといった一風変わったパンまでたくさんの種類があった。どれにするか迷う方は、ハーフサイズのパンをいくつか選ぶの良いだろう。昼食用に購入し、駅へ戻った。

●岩倉具視幽棲旧宅
国指定史跡となっている岩倉具視の旧宅。岩倉はここに住んで坂本龍馬らとの会合を重ね、のちに明治新政府の中心を担った。
【開場時間】9時-17時(水曜休館)
【入場料】300円
【特典】ポストカードがもらえる

宝ヶ池

宝ヶ池駅から宝ヶ池公園へ入り、小高い山の周りをしばらく進んだ。15分ほど歩いて緩やかなカーブを曲がり終えると、目の前に大きな池が広がっていた。とても解放感がある。このあたりで一休みすることにし、先ほど買ったパンを食べた。池以外には「桜の森」という広場があるなど、自然の心地よさを味わうことができる。桜の季節が過ぎても、今度は新緑が美しく、散策すると気持ちよいだろう。

●宝ヶ池公園
宝ヶ池は江戸時代に造られた溜池で、1961年以降、公園の整備が進んだ。料金は無料で、「子供の楽園」以外は終日開園している。

茶山

ここからの2カ所は、開館時間が限られていて、かつ1日乗車券の優待が受けられる。まず、茶山駅付近の駒井家住宅だ。ここは、「日本のダーウィン」と称された駒井卓・京大名誉教授の私邸で、京都市有形文化財となっている。駒井の住んでいた頃の家具などが保存されており、当時の暮らしを垣間見ることができる。

●駒井家住宅
アメリカの建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの、昭和初期における代表的な洋風住宅。
【開館日】金・土曜日10時-16時
【特典】入館料100円割引

一乗寺

次に、一乗寺駅まで戻り金福寺へ。中に入って振り向くと、京都市内を見渡すことができ眺めがよかった。向き直って少し進むと、境内には松尾芭蕉が訪れたという庵があるほか、与謝蕪村の墓があった。ここに二人の有名俳人にまつわる場所があるとは知らなかった。1日乗車券を使ってたくさんの観光地を巡れば、こうした新たな発見が期待できる。

●金福寺
この寺で松尾芭蕉と親交を深めた住職が、境内の無名だった草庵を「芭蕉庵」と名付けたという。その後、芭蕉を慕う与謝蕪村がこの寺を訪れ、荒廃していた庵を再興し、俳文を納めた。
【特典】拝観料400円から50円割引

三宅八幡・八瀬比叡山口

叡電の路線は、宝ヶ池を境にYの字状になっている。ここからは、東側の叡山本線各駅を紹介する。まず、三宅八幡駅だ。駅名にある三宅八幡宮は先述の通り八幡前駅から訪れたので、5分ほど歩いて蓮華寺へ向かった。
次の八瀬比叡山口駅では、降りてすぐに高野川が見える。桜などの木々が美しく、散策などを楽しむことができる。注意点として、夜、駅舎は明るいが川の周りは暗いため、日中に訪れたほうが良いだろう。このほか、10分ほど歩くと瑠璃光院という庭園がある。

●蓮華寺
庭園から木々の緑や季節の花を楽しめる。

●瑠璃光院
4月15日から6月30日まで特別公開が行われている。板の間に木々が映る「床緑」が有名。
【入館料】一般2000円(大学生は学生証の提示で1000円)
【開館時間】10時-16時30分

木野

たくさん回って暗くなってきたが、妙満寺は夜に訪れても楽しめる。境内の桜園で、4月中旬までしだれ桜のライトアップが行われているのだ。また、5月には山門周辺のツツジが見頃を迎えるという。桜園を含む境内へは無料で入ることができ、本堂や展示室などの入場料は1日乗車券を提示すると割引される。

●妙満寺
俳諧の祖とされる松永貞徳が造営した枯山水の庭などがある。
【拝観料】500円(境内は無料)
【拝観時間】9時-16時(境内は6時-17時。ライトアップは18時-20時)

修学院 ・元田中

そろそろおなかが減ってきたという時に、また1日乗車券が活躍する。修学院駅から徒歩5分のラーメン魁力屋では、麺類を注文して1日乗車券を提示すると、チャーハン並盛が無料になるのだ。ボリューム、味、お得なサービスに満足し、また叡電に乗った。なお、修学院駅付近では、曼殊院という名刹の拝観料が割引される。

最後に下車したのは元田中。駅からすぐの田中神社は、田中姓の発祥地と言われている。ここまで戻ると、京大にかなり近づいており、読者の中には最寄り駅という方もいるかもしれない。叡電の路線は、全長が京阪本線の5分の1ほどで、京大付近から自転車で行ける場所もある。ただ、電車ならではの発見や1日乗車券に伴う優待があるほか、坂道の多さを考えても、叡電での観光はおすすめである。22時ごろ、全駅を巡り終えて出町柳に到着した。

●ラーメン魁力屋
京都北白川に本店を構えるラーメン店。一杯750円から
【特典】麺類を一杯注文するとチャーハン並盛が無料に。

●田中神社
田中姓の発祥地と言われる神社。終日無料で参拝できる。

振り返って

叡電の各駅付近には、有名な観光地から知る人ぞ知る名所まで、訪れるべきスポットがたくさんある。私が実践した回り方をなぞるも良し、興味の湧いたスポットを気の向くままに訪れるも良し。自分なりの楽しみ方で春の京都を満喫してほしい。

《データ》
【乗車回数】19回
【1日乗車券を使用しなかった場合の合計運賃】3890円
(叡電の料金は、乗車区間に応じて、210円から380円まで5つの区分がある。)

※訪問地情報は2019年4月16日号掲載当時のもの。詳細はそれぞれのホームページ等を参照。

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