文化

11月祭 ゴリラの素顔を垣間見る ゴリラ保全のため写真家へ

2014.12.01

暗い部屋の中、中央に展示されたゴリラの写真群がライトアップされて浮かび上がり、スクリーンに流れるゴリラの映像とともに独特な雰囲気を醸し出す。ダンディーな空間かと思いきや、子どもの無邪気な姿や母と子の触れ合いの写真など優しい素顔が垣間見える。一つ一つ違った表情をもって、見る者全てに微笑みかける――。

ここは11月祭に出展されたゴリラ展。主催するのは京大農学部3回生の大塚亮真さん。小学生の頃からゴリラに関心があり、ゴリラの保全に関する研究を志して京大農学部に入学。しかし、保全と研究は相容れない部分があり、その矛盾に悩んで一時期は研究から離れていたという。そこで見出したのが、写真家の道。「ゴリラを知ってもらうことで保全につなげられる」とその意義を語る。11月祭には初めての出展で、この展示会がいわば写真家デビューとなる。

一見ゴツくて怖そうに見えるゴリラ。その魅力はどこにあるのか。大塚さんは、「見た目と性格は真逆です。ゴリラは草食で、心優しく、繊細。そのギャップに惹かれました」と話す。

今回展示されたのは、国内の動物園にいるゴリラの写真。東京や愛知、神戸など全国をまわり撮影した。近年、本場のアフリカではゴリラツーリズムが人気だが、ゴリラだけでなく環境にも負荷が大きいと懸念する。そのため、来年はアフリカで撮影し、発信することで保全に努めていきたいと意気込む。

11月祭4日間で入場者数は実に2000人を超えたという。また、展示には、大学入学前からの恩師である山極寿一総長も訪れた。強力な支えと情熱を胸に写真家としてゴリラ保全の道を歩んでいく。(千)