春秋講義 情報学研究科・乾敏郎教授「脳とこころの 関係をさぐる」(2012.05.16)

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4月25日、吉田キャンパス百周年時計台記念館・百周年記念ホールにて、乾敏郎・情報学研究科教授による春秋講義「健康なこころを支える脳のしくみ」が行われた。
春秋講義は、京都大学における学術研究活動の中で培われてきた知的財産を、広く学内外の人々と共有することを目的としている。毎年2回、春と秋に開講され、今回で48回目を迎える。

今春のメインテーマは「こころを科学する」。このテーマに沿って講義が3回行われる。今回の乾教授による講義はその初回。講義は大盛況で、会場は満席となった。
講義が始まると、乾教授はまず、脳のしくみの研究がどのように行われるのか説明した。障害をもつ脳を研究することで初めて、健常な脳がどういうものなのか理解できる。そうして健常な脳に対する理解が深まると、脳の障害に対する理解も深まる。このように健常な脳と障害をもつ脳の、それぞれの研究が相互に影響し合って、脳のしくみの研究は進むという。続いて、健康なこころを支える脳の機能として、主な3つの機能を紹介し、それぞれ詳細を述べた。

1つ目の機能は「like-meシステム」。これは、自分が他者と共通の知識を保有していることにより、その他者を理解するという機能だ。この機能を担う脳の部位にミラーニューロンがある。この部位は何らかの行為に反応して活動する。私たちが他者の行為を見ると、ミラーニューロンはその行為を脳内で模倣する。この模倣により、他者の行為を自分の行為と同じように脳は認識する。私たちはこのようにして、他者の行為を理解しているのだ、と語る。

「different-from-meシステム」というのが2つ目の機能で、これは他者のこころを読む機能だ。この機能はコミュニケーションにおいて非常に重要な役割をもっている。この機能によって私たちは、他者の視点で物事を考えることができる。1つ目のシステムが他者の外面的なからだの動作を理解する機能であるのに対し、このシステムは他者の内面的なこころの状態を推定する機能だ、と言う。

「予測と自己モニタリングシステム」というのが3つ目の機能だ。私たちは、1秒にも満たないくらいすぐ先のことを、無意識のうちに、常に予測している。このことは自己を形成する上で非常に重要な役割を果たしている。私たちは自分が自分の予測通りに動くことを確認(モニタリング)することで、自分が自分のものであることを実感しているのだ、と述べる。

これらの機能に異常が生じると、自閉症や統合失調症といった障害が現れる。こういう障害をもつ脳を研究することが健常な脳を知る上で非常に重要で、また同時に、健常な脳を研究することも障害を知る上で大切だ。そうした中で、脳とはどういうものなのか理解できるのだ、と乾教授は語り、講義を締めくくった。(朴)

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