文化

〈企画〉これが、京大生の食生活だ

2011.04.06

新入生の皆さんは京大生の食生活がどのようなものだとお思いだろうか。勉強するのに適した食事をしているのか、はたまた飲み会ばかりで散財しているのか。そのような疑問に答えるべく、今回この企画を始めた。はっきり言ってまともな食生活を行っている人はなかなかいない。今回で言えば、ケースⅤのような食生活の人が多いように思う。よく言われるのは、最初の1ヶ月が後々の食生活を大きく左右するということだ。新入生の皆さんは、初めはサークル見学でおごってもらうなど外食が多くなると思うが、これから自分がどんな食生活を送りたいのか考え、最初の1ヶ月を過ごしてもらいたい。タダより高いものはないのだ。(空)

ケースⅠ 自炊派A―理想的な例

1日目



朝食:8時起床。学生の朝は早い。私は食事が用意されていなければ布団から出られない性質なので、前日に作っておくか簡単に調理できるものを用意しなければならない。ホカホカのご飯と前日に作っておいた卵焼きを牛乳で流し込み、学校へ向かう。

昼食:京大新聞のボックスで昼食。今日は弁当を持参した。前日の残りのマカロニポテトサラダに冷凍食品の唐揚げを詰めた。ご飯とおかずだけでは物足りないのでインスタントの味噌汁を入れる。私のロッカーには大量の食料品が詰まっているのだ。

夕食:帰りに寄ったスーパーで合挽き肉が安かったので、煮込みハンバーグを作る。黙々とタマネギを刻む。目が痛い。今回の煮込みソースには舞茸を用いた。季節に合わせてシメジやエリンギでも美味しく作れるのが良い。トマト缶が余ったのでミネストローネを煮込む。温かいスープが冷えた身体にしみる。

2日目



朝食:前日の残りのハンバーグとミネストローネ、トースト

昼食:この日も弁当を持参した。京大新聞のボックスでハンバーグを温める。他のおかずは冷凍食品のアンパンマンポテト。幼稚園の時弁当によく入っていた。下宿の近くで売っている店が少ないのが寂しい。

夕食:和食が恋しくなったので、筑前煮を作ることにした。椎茸、レンコン、ゴボウなどの食材を次々と鍋へ放り込む。煮込み料理は時間がかかるが、時間をかければかけるほど味が染みていく。煮込んだ鶏肉の柔らかさとタケノコの歯応えがたまらない。

3日目



朝食:この日は2限からなので、朝食を作る余裕があった。余り物のキャベツで炒飯を作る。ご飯を卵でコーティングするのがなかなか難しいが、この日は上手くいったようである。

昼食:弁当(筑前煮の残りと炒飯)

夕食:たまには米料理以外のものが恋しくなったので、グラタンを作ることにした。だが、調理の途中で耐熱皿を持っていなかったことに気付き、閉店間際の店に駆け込む。事前に調理用具を揃えておくのは料理の鉄則である。ジャガイモとマカロニの量が多くなったが気にしてはいけない。一人暮らしは余計にエネルギーを消費するものなのである。ソースを煮込んで、オーブントースターで加熱して完成。焼き色のついたチーズが美味しい。こうして毎日の食事が充実していれば、明日も何とか大学に行けそうな気がしてくる。(如)

ケースⅡ 自炊派B―至高のぶどうパン

「京大生の食生活」と銘打った今企画だが、果たして自分の日々食べているものが京大生の食生活を代表できるようなものだとはとても思えない。くれぐれもその点には注意してほしい。きっと、皆もっとましなものを食べているはずだ。

ところで、おこがましくも自炊派の1人を名乗っているものの、私には大した調理技術はない。しかし、カレーと味噌汁ぐらいが作れたら、あとは何とかなるものである。数少ないレパートリーをいかに創意と工夫で乗り切るか、それが自炊生活を成功させるカギである。

1日目



朝食はロールパン3つ。毎朝布団から抜け出すまでに「今日の予定」を反芻してしまうような私にとっては、朝食を作る時間も惜しいのだ。しかし、特別に寒い日にはコーンポタージュやココアを飲む時もある。

昼食は株式会社フジパンの「ぶどうパン」。105円とお得な上に、結構量もある。暖かい日には中庭などでのんびり齧るのがオツである。

この日の夕食はカレーライス。具はタマネギとひき肉だけである。バイト代が入るなど収入があると具はそれに応じて豪華になっていくが、ジャガイモなどは火が通るまでに時間がかかるので、気付けばシンプルな形になっている。

2日目



昨日に引き続き、本日の朝食もロールパンだ。ちなみに私はバターやジャムなどはつけない。コンロの火で軽くあぶると、皮が少しパリッとしておいしい。

「ぶどうパン」は私にとってインド人にとってのナンのようなものである。昼食と言えば「ぶどうパン」。時々他の美味しそうな弁当などに浮気することもあるが、本命は彼だ。

昨日のひき肉が余っていたので、スーパーで麻婆豆腐の素ともやしを買い、麻婆もやし丼にした。写真ではなんだか汚いが、これが結構イケる。調理時間も10分程度と短い。

3日目



本日は休日なので遅めの朝食。もちろんロールパンである。時間が遅かったので個数は2つだった。先日のカレーが残っていたので、昼食はそれで済ます。作り置きも一人暮らしの知恵である。

つくねがタイムセールで半額だったため、最後の晩餐はつくね汁。人参、大根、タマネギなどの野菜とつくねを煮込んだだけの簡単な料理だ。要は、ただの豚汁である。味付けは味噌とだしの素、お好みでネギや七味をかけよう。(書)

ケースⅢ ギャングスターズ―ボリューム満載

京大アメフト部、ギャングスターズの朝は元田中にあるクラブハウスでの朝ご飯から始まる。筋骨隆々とした肉体の猛者達が次々に寝ぼけ眼をこすりながら集結してくる。朝ご飯は思ったほどのボリュームはないものの、肉と野菜のバランスがうまくとれた、まさにアスリートにふさわしいメニューであった。朝ご飯の値段は300円で固定されていて、おかわりは自由である。値段も手頃で、一人暮らしをしながらも体作りをしなければいけない学生アスリートには嬉しい限りである。

昼ご飯はメンバーが一同に会しての食事はなく、各々が思い思いの場所で食事を摂る。今回昼ご飯に同伴させてもらったメンバーによると、学生食堂での食事が多いとのこと。昼ご飯は自己管理が求められることもあって、野菜と肉をバランスよく食べることに留意しているようだ。食事バランスや量を考慮することもあって、昼ご飯にしては少し高めの値段がかかることは致し方ないか。

夜は夕方の練習が終わった後、朝と同じようにクラブハウスでの食事となる。値段はこれも朝と同じく固定で800円。値段以上にお得感のあるメニューの数々。食堂のお姉さん曰く、肉や野菜は当然国産。ギャングスタ―ズの強靭な鋼の如き肉体がこれらの健康的で、ボリュームのあるメニューに裏付けられていることは言うまでもない。(丼)

ケースⅣ 寮食派―毎日が修学旅行

こんにちは。熊野寮生です。京大にはいくつか寮がありますが、なかでも熊野寮には食堂があり、授業・試験期間中の平日には食事が提供されています。ここでは寮外生が普段知る機会の少ない寮食メインの食生活を紹介したいと思います。

1日目



朝食:ピザトースト(トマトソースとチーズ乗せ)、食パンにピーナッツバター塗ったの、サラダ、アシッドミルク、紅茶。せっかく寮食を京大新聞の読者にも広める良い機会なのだから、と無理をしていつもより早めに起きた。朝を食べるのは久しぶりだ。ちなみに昔は朝食を食べてから寝る猛者がいたとかいないとか。

昼食:カツカレーに福神漬けトッピング、フルーツヨーグルト。量が多いので「ご飯少なめに盛ってください」と厨房員さんにお願い。その瞬間私の後ろに並んでいたやつが喜んだ(余分に盛ってもらえるから)。メインにプラスして小鉢がついてくるとトクした気分になる。

夕食:ごはん、大根と油揚げの味噌汁、チキン、せんきゃべつ、ホウレンソウの和え物、里芋の煮物。

2日目



昼食:とんこつラーメン。朝ご飯食べられなかった…。多分明日も無理だろうな…、と敗北主義的になりつつ昼食。この日は麺、ご飯ものの中から選べた。
夕食:さつまいもご飯、豚汁、鮭のピカタ、せんきゃべつ、中華サラダ、大根とタコの煮付け。

3日目



昼食:天津飯

夜食:うな丼、野菜の煮物、素麺入りのスープ。まさかのうな丼!しかも国産だそうです。こんな贅沢が時々出来るのも寮食の強みです。また何よりも寮生同士でワイワイとお喋りしながら食事する時間は「毎日が修学旅行」とでも言いましょうか、何物にも代え難いものがあります。

寮食は朝180円、昼290円、夕420円です。安価で栄養ボリューム満点ですので、近くに寮生がいれば気軽に「寮食連れてってよ」とお誘いください♪(魚)

ケースⅤ 外食派―これでも私は生きている

1日目



朝食などというものは私の辞書に存在しない。14時くらいに起き、しばらくダラダラした後、15時くらいに自転車で寮を出て百万遍のマクドナルドを目指す。ビックマックセットのポテトL、コーラLをテイクアウトで注文、京大新聞BOXで食べる。他の編集員から「またマクドナルドか」、「いったい何日連続で食べているんだ」との声があがる。ずいぶんと大袈裟だなと思う。まだたったの二日連続である。

昼食が遅かった影響で夜はなかなか空腹にならない。結局100円ローソンで買った柿ピー、板チョコ、ポテトチップスなどのお菓子類を食べただけでまともな食事をとることがないままであった。

朝食:なし
昼食:ビックマックLLセット
夕食:コンビニのお菓子達

2日目



朝食などというものは私の辞書に存在しない。15時過ぎに起床するが、ぼーっとしているうちにあっという間に16時になってしまう。「今日の俺、何もしないうちにもう16時だよ」という自慢話を他の寮生にしているうちに17時を回る。しばらくすると人生の貴重な一日を無駄にしてしまったという後悔が襲ってくる。悔んでいるうちに夜になってしまい、昼食も食べ損ねる。夜もふけた頃、こっそりファミリーマートに寄り、「超大盛りたらこスパゲッティ」を買い求める。肌色とピンク色の絵の具をまぜた感じのまるでこの世の終わりのような液体は残念ながらとてもたらことは思えない。気持ち悪いとか健康に悪いといったことはあまり考えないようにしてせっせと胃に流し込み、すぐに床に着く。

朝食:なし
昼食:なし
夕食:超大盛りたらこスパゲッティ(ファミリーマート)

3日目



朝食などというものは私の辞書に存在しない。昨日の反省から今日は正午に起床し、すぐに昼食へと出かける。マクドナルドでフィレオフィッシュセットのポテトLを注文して京大新聞ボックスへ。編集員に「最近の47君は身体からマクドナルドの臭いがする」と言われる。

夜はまたお菓子かコンビニで済ませようかなと思っていたら寮生の友人から鍋に誘われた。吉田寮では食堂の機能が停止していてご飯が出ないかわりにたまに寮生が集まって鍋をするのである。久しぶりのまともな食事である。貧乏鍋なので肉の量が極端に少なく、白菜ばかり食べることになってしまうが普段野菜をきちんと食べない私にはかえってありがたい。たまに食べるシイタケがとてもジューシーなことに気が付く。

朝食:なし
昼食:フィレオフィッシュセット(ポテトL)
夕食:鍋

以上、こんなに貧しい私の食生活を不特定多数に公開するのは非常にためらわれるが、悪い見本としてはむしろ理想的なものかもしれない。安くて健康的な自炊生活を満足に続けられない怠惰で無能な人間の行き着く先と笑ってほしい。(47)