教員の行為を違法認定 文学研究科アカハラ判決下る(2010.08.01)

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文学研究科に在籍していた元院生が、所属していた研究室の教授・助教授(当時)からアカデミックハラスメントを受けたとして、京都大学と中務哲郎元教授(現在定年退職、京都大学名誉教授)・高橋宏幸元助教授(現在教授)に損害賠償を求めていた裁判で、大阪地裁は6月24日付で違法なアカハラ行為の事実を認定する判決を下した。いっぽう大学側の対応については「違法性があったとはいえない」とし、教授への損害賠償請求については時効成立を理由に棄却した。原告側の元院生は控訴しなかったため、7月7日付で同判決は確定した。

判決文などによると事件のあらましは以下の通り。2002年2月、院生Aさんが執筆した修士論文について「共著で発表しないか」と、Aさんと友人の院生Bさん同席の場で、C教授(現在は退職)がAさんに持ちかけた。それをAさんが断ったところ、Aさんは同じ研究室の高橋助教授(当時)から何度もC教授との共著を強く勧められた。

Aさんが高橋助教授から共著を強く勧めるメールを受けとった3日後の3月22日、同研究室の中務教授(当時)はBさんの博士後期1年度末研究報告書の受け取りを拒否した。そのうえBさんは、文学研究科博士後期課程には当時存在しない留年処分を言い渡された。

そこで2002年3月末、Bさんは文学研究科相談窓口にアカハラ被害を訴えたところ、文学研究科長による緊急措置としてBさんの留年が保留された。以降、文学研究科人権問題対策委員会によって数回の聴取と話し合いが行われた。委員会は、Bさんは留年には当たらないとし、文学研究科長がBさんの研究復帰を確認したが、教授に対する公式な処分はなかった。

Bさんは研究室が復帰に向けたサポートをしていないとして文学研究科に対し、2003年7月に調査委員会の設置を要請したが、人権問題対策委員会は、一度話し合いによる解決を選んだ以上、調査委員会の立ち上げは出来ないと回答した。

文学部学友会(=学生自治会)はこの問題について学部当局に公開質問状を提出するなど取り組んでいた。学友会のビラを見た中務教授は2003年11月10日、学友会BOXを訪れ、その場にいた不特性多数の学生の前でAさんとBさんを名指しし、イギリスならそのような学生は病院に行かせて終わりだと思う旨の発言をした。

結局Bさんは2004年12月に文学研究科を退学した。Aさんは中務教授の学友会BOXでの発言について2005年10月、全学の相談窓口を通して調査委員会(全学)に調査・調停を申し立てた。調査・調停委員会が立ち上げられ調停案が提示されたが、この間の経緯について双方に非があったという内容だったため、Aさん・中務教授はともにこれを受諾せず、調査・調停委員会は解散した。Aさんは2007年11月に文学研究科を退学した。

AさんとBさんは2007年12月に中務元教授・高橋元助教授および京都大学を被告として、研究生活の道を事実上断たれたことの名誉回復を意図し提訴した。

判決では、中務元教授が大学の規程にない留年措置をとったことについて「教育的措置としての裁量を逸脱したものであり、違法というべきである」とし、学友会BOXでの発言についても「原告らの社会的評価を低下させる行為であるといえ…指導教官という立場の被告がそのような発言をすることは、原告らの名誉を毀損する違法行為であり、原告らの研究教育環境を害する違法行為でもある」と違法性を認定した。

高橋元助教授の行為についても、Aさんが共著提案を受け入れる意志がないことを明確に示していたにも関わらず、数回にわたりメールを送付したことは、「指導教官としての指導の域を超える執拗で違法な行為というべきである」と違法性を認定した。

いっぽう、上記の3点以外の行為および文学研究科および京都大学の対応については「違法な措置とまではいえない」とされた。損害賠償についても違法行為の被害を受けたといえる2002、3003年から訴えた時点で既に3年を超えているとして時効を理由に認められなかった。

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