ニュース

学術会議改革案に歴代会長が声明 独立性維持のため「再考を」

2023.03.16

日本学術会議の会員を選考する際、第三者委員会の意見を反映するとした組織改革の法改正案をめぐり、京大前総長の山極壽一氏を含む歴代会長5名が2月14日、岸田文雄首相に対し「再考を願う」とする声明を発表した。日本記者クラブでの記者会見で明らかにした。政府は今期の通常国会で改正案を提出する方針だ。

現在は学術会議が会員候補を選定し、首相が最終的に任命する形式をとっている。声明では、学術会議の科学的助言は「政府の利害から学術的に独立に、自主的に行われるべき」としたうえで、第三者委員会が会員の選考に介入すれば、政府からの自立性に影響を及ぼし、学術会議の国際的評価を損なう可能性があるとの懸念を示した。

日本学術会議をめぐっては、菅前首相が2020年9月、会員候補105名のうち、京大の芦名定道・文学研究科教授を含む6名の任命を拒否した。これについて山極氏は今回の会見で、任命を拒んだ理由を政府が説明していないとして、「この問題は終わっていない」との見解を示した。11年に会長を務めた広渡清吾氏は法改正案との関連に言及し、第三者委員会で首相の任命前に会員選考の事前チェックをさせるねらいがあり、「任命拒否を正当化して制度として取り込む目的だ」と指摘した。

政府の組織改革に対しては、学術会議が昨年12月に「再考を求める」とした声明を出したほか、日本近代文学会をはじめとする諸団体が、今月10日時点で計106の抗議声明を発表している。内閣府は2月16日、学術会議に改革案の検討状況を説明したが、これに対し学術会議は22日、改めて懸念事項をまとめ「実質的な見直しがなされていない」との見解を示した。

法改正案の提出について、予定していた3月14日より遅くなることが、8日の参院議院運営委員会理事会で明らかになった。松野博一官房長官は同日の記者会見で「検討に時間を要している」と述べ、今国会で提出する方針は維持するとした。