理学研 生息魚種を定量評価 環境DNAから推定
2023.01.16
辻冴月・理学研究科研究員らの研究グループは12月13日、河川から採取した環境DNAを解析することで、生息する魚種の量を推定することに成功したと発表した。今後、生物多様性の変化に関する情報の収集を、多くの地点で容易に実現することにつながると期待される。
環境DNAとは、生物が生息環境中に放出したDNAを指す。魚類の場合、排泄物や粘液、表皮、精子などに由来する。従来、環境DNAを指標にして調査地に生息する種を調べる手法として「環境DNAメタバーコーディング」が知られていた。しかし、この手法は、種の存在を検出できる一方で、それらがどれだけいるかを評価することが困難であるという課題があった。そこで研究グループは、この課題の解決のため、2018年に開発された「qMiSeq法」を適用した。この手法では、既知濃度の内部標準DNAを試料に添加することによって、環境DNAを量的に評価できるのだという。
研究グループは、この手法が実際に有用であるかを検討するために、中国・九州地方の4つの河川の合計21地点で調査を行った。各地点において水を採取して環境DNAを回収し、PCR法で増幅し、リード数をDNA濃度に換算した。また、各地点で電気ショッカーを用いてしびれた魚類を捕獲し、各魚種の個体数と生物量を記録した。そのうえで、qMiSeq法で求められた環境DNA濃度と、実際に捕獲した個体数や生物量を地点ごとに比較したところ、正の相関が見られたという。こうした結果から研究グループは、環境DNA濃度から魚種の量的な情報が得られており、今回用いた手法の有用性が高いことが示されたとした。
環境DNAの調査は、生物種を同定するための専門知識が必要な捕獲調査と比べると、労力がかからず短時間で行えるとされる。生物多様性の調査を行う際に今回の手法を用いることで、容易に情報を収集し、健全な生態系の維持につながる可能性がある。この研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
環境DNAとは、生物が生息環境中に放出したDNAを指す。魚類の場合、排泄物や粘液、表皮、精子などに由来する。従来、環境DNAを指標にして調査地に生息する種を調べる手法として「環境DNAメタバーコーディング」が知られていた。しかし、この手法は、種の存在を検出できる一方で、それらがどれだけいるかを評価することが困難であるという課題があった。そこで研究グループは、この課題の解決のため、2018年に開発された「qMiSeq法」を適用した。この手法では、既知濃度の内部標準DNAを試料に添加することによって、環境DNAを量的に評価できるのだという。
研究グループは、この手法が実際に有用であるかを検討するために、中国・九州地方の4つの河川の合計21地点で調査を行った。各地点において水を採取して環境DNAを回収し、PCR法で増幅し、リード数をDNA濃度に換算した。また、各地点で電気ショッカーを用いてしびれた魚類を捕獲し、各魚種の個体数と生物量を記録した。そのうえで、qMiSeq法で求められた環境DNA濃度と、実際に捕獲した個体数や生物量を地点ごとに比較したところ、正の相関が見られたという。こうした結果から研究グループは、環境DNA濃度から魚種の量的な情報が得られており、今回用いた手法の有用性が高いことが示されたとした。
環境DNAの調査は、生物種を同定するための専門知識が必要な捕獲調査と比べると、労力がかからず短時間で行えるとされる。生物多様性の調査を行う際に今回の手法を用いることで、容易に情報を収集し、健全な生態系の維持につながる可能性がある。この研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。