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チンパンジーの肝炎治療に成功 過去の医学実験で人為的に感染

2026.09.16

野生動物研究センターの平田聡教授と熊本大学の田中靖人教授らの研究グループは、25~43年前に医学実験でC型肝炎ウイルスに感染させたチンパンジー8個体に対して、ウイルス除去のための投薬治療を行い、6個体でウイルスを完全に除去することに成功した。純粋な治療目的で投薬して成功したのは世界で初めて。チンパンジーを飼育する熊本サンクチュアリは、治療薬の購入のために2022年からクラウドファンディングを実施し、合計5千万円を集めていた。

治療前に8個体の血液検査を行い、各々の治療薬と投薬期間を定めた。蒸かしたサツマイモやジュースに、砕いて粉状にした治療薬を混ぜて投薬した。投薬終了後にC型肝炎ウイルスの有無を確認したほか、半年後にも再度検査を行い、両方でウイルスが検出されなかった6個体で治療成功と判断した。2個体では、投薬後もウイルスが検出された。ウイルスの遺伝子を解析したところ、薬剤耐性と考えられる変異がみられた。

また、投薬終了後に8個体の肝臓の状況をエコーで調べたところ、3個体で肝臓に腫瘍が見つかった。うち2個体は肝臓がんが原因で亡くなったという。グループによると、発見時には比較的大きな腫瘍があり、投薬治療前に既にがんが生じていたと推測される。治療が成功したチンパンジーは、肝機能の向上が確認されており、健康な状態を取り戻しているという。

グループは、チンパンジーのC型肝炎ウイルスをヒト用治療薬で治療可能だと示せたことを「ひとつの大きな成果」とする。一方で、薬剤耐性ウイルスの存在や、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝臓がんの発生といった負の側面があることも明らかになったという。平田教授は、医学実験によってヒトでは多くの患者が救われてきた一方で、実験対象のチンパンジーへの治療は行われてこなかったとしたうえで、過去に実験対象になったチンパンジーの余生の福祉に目をむけるべきと述べた。本研究は、7月20日に国際学術誌「Journal of Medical Virology」にオンライン掲載された。

なお、チンパンジーを飼育する熊本サンクチュアリは、7月28日の熊本地震で震度5強を観測した宇城市三角町に位置する。京大によると、飼育するチンパンジー・ボノボや職員への直接的な被害や大きな物的被害は確認されていないという。

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