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訃報 理学部出身 利根川進氏死去 ノーベル生理学・医学賞受賞

2026.08.01

7月11日、利根川進・京大名誉博士が死去した。86歳だった。京大理学部を卒業後、ヒトの体内に侵入する異物を排除する「抗体」の性質について研究を進め、1987年に日本人で初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した。後年は脳科学に軸足を移し、記憶の仕組みの解明に力を注いだ。

利根川氏は39年生まれ、名古屋市出身。63年に京大理学研究科へ進学したものの、中退してカリフォルニア大サンディエゴ校へ渡り、分子生物学を修めた。その後はバーゼル免疫学研究所、マサチューセッツ工科大、理化学研究所などを渡り歩いた。

バーゼル免疫学研究所時代、免疫中の抗体が「抗原」と呼ばれる異物と特異的に結合する仕組みの解明に取り組んだ。抗体はヒトの遺伝子をもとにつくられ、ある1種類の抗原のみと特異的に結合し、抗原の毒性を弱めるはたらきを持つ。しかし、約2万しかないヒトの遺伝子から、膨大な種類の抗体が産生される仕組みは分かっていなかった。利根川氏は、抗体を作る細胞が成熟する過程で、遺伝子断片が複数のグループからランダムに1つずつ選ばれ、1つの遺伝子として再構成される「遺伝子再構成」の仕組みを発見。抗体の多様性を生む原理を解明したとして、87年にノーベル生理学・医学賞を受賞したほか、前後してガードナー国際賞、文化勲章、ラスカー賞などを受賞した。2004年には、理学部時代の級友だった尾池和夫総長(当時)から、京大名誉博士の称号を授与された。

16日、自身も免疫学者である湊長博総長は、京大のホームページにコメントを発表。かつて利根川氏と議論を交わしたことを述懐し、「利根川先生の志を受け継ぎ、未知の領域にも果敢に挑戦できる自由で独創的な情熱を保持しながら、一層研究に邁進していく」と故人を偲んだ。