地域協力の軽視 雰囲気に由来 転居者率と規範意識に相関
2026.07.16
内田由紀子教授(人と社会の未来研究院)らのグループは、転居者率が高い地域ではそうでない地域に比べて「協力規範」が軽視される傾向にあると示した。人の移動が個人の行動だけでなく、地域全体の「雰囲気」自体に影響を及ぼすことを明らかにする結果だ。
地域コミュニティでは、防災や環境維持などにおいて、住民同士の協力が重要な役割を担っている。その一方、協力に伴う個人的負担を避け、自分だけ利益を得ようとする問題が生じている。その問題を生じにくくするための協力規範の力が、人の移住や転居で弱まることが指摘されてきた。この理由は転居者が規範を軽視しているためとされてきたが、原因が転居者個人にあるのか、転居者が多い地域環境の社会的文脈にあるのか明らかにされてこなかった。
グループは、西日本の408の地域コミュニティを対象とした質問紙調査と、滋賀県野洲川地域の99の地域コミュニティを対象とした質問紙調査の2つを実施した。マルチモデル分析を用いて▼協力行動▼協力規範の認知▼転居の回数などの関連を解析した。転居者率が高い地域ではそうでない地域より規範が軽視されやすく、転居者も非転居者も規範を軽視していた。また、転居者と非転居者は同程度規範に従っていた。西日本の広範な地域を対象とした調査と滋賀県の特定地域を対象とした調査のどちらでもこの結果が得られたという。これらの結果から、規範が軽視される原因は転居者個人ではなく、転居者が多い地域の社会的文脈、すなわち「雰囲気」である可能性が示された。
グループは、転居者率と協力規範の強さとの関連の理由について、「転居者は規範を守らない」という固定観念があり、転居者が多い地域は「ほかの住民は規範を守らないだろう」という意識から、自身も規範を無視する人が増えることをあげている。誤った固定観念が出発点となり、それに基づいて人々が実際に行動する結果、固定観念が事実となって規範の形骸化が起こるのではないかとしている。そのうえで本研究は、転居がもたらす問題の解決に転居者と非転居者の関係性や地域全体を対象とした介入が効果的である可能性を示唆するものだとした。
本研究成果は、国際学術誌「Cities」にて発表された。
地域コミュニティでは、防災や環境維持などにおいて、住民同士の協力が重要な役割を担っている。その一方、協力に伴う個人的負担を避け、自分だけ利益を得ようとする問題が生じている。その問題を生じにくくするための協力規範の力が、人の移住や転居で弱まることが指摘されてきた。この理由は転居者が規範を軽視しているためとされてきたが、原因が転居者個人にあるのか、転居者が多い地域環境の社会的文脈にあるのか明らかにされてこなかった。
グループは、西日本の408の地域コミュニティを対象とした質問紙調査と、滋賀県野洲川地域の99の地域コミュニティを対象とした質問紙調査の2つを実施した。マルチモデル分析を用いて▼協力行動▼協力規範の認知▼転居の回数などの関連を解析した。転居者率が高い地域ではそうでない地域より規範が軽視されやすく、転居者も非転居者も規範を軽視していた。また、転居者と非転居者は同程度規範に従っていた。西日本の広範な地域を対象とした調査と滋賀県の特定地域を対象とした調査のどちらでもこの結果が得られたという。これらの結果から、規範が軽視される原因は転居者個人ではなく、転居者が多い地域の社会的文脈、すなわち「雰囲気」である可能性が示された。
グループは、転居者率と協力規範の強さとの関連の理由について、「転居者は規範を守らない」という固定観念があり、転居者が多い地域は「ほかの住民は規範を守らないだろう」という意識から、自身も規範を無視する人が増えることをあげている。誤った固定観念が出発点となり、それに基づいて人々が実際に行動する結果、固定観念が事実となって規範の形骸化が起こるのではないかとしている。そのうえで本研究は、転居がもたらす問題の解決に転居者と非転居者の関係性や地域全体を対象とした介入が効果的である可能性を示唆するものだとした。
本研究成果は、国際学術誌「Cities」にて発表された。
