文化

吉田寮 京大のあり方考える学習会開催 現棟補修や総長選考が論点

2026.07.16

吉田寮 京大のあり方考える学習会開催 現棟補修や総長選考が論点

現棟の建築的意義を語る笠原准教授

6月10日、吉田寮自治会が主催する学習会「変われ京大~吉田寮・現棟補修と総長選の展望~」が文学部校舎第3講義室で行われた。当日は寮生のほか、京大内外の教員3名が登壇し、4月に京大が発表した吉田寮現棟の建て替え方針を踏まえつつ、現棟の建築的意義や京大の対応の刑法上の問題点について意見を述べた。また、職組や学生団体が提出した総長候補者への公開質問状の回答結果やその受け止めも発表した。

吉田寮現棟をめぐっては、昨年8月の寮自治会と京大との和解に基づき、今年3月末に寮生が現棟から一時退去したが、京大は4月14日に現棟を建て替える方針を出していた。吉田寮自治会によると、京大と寮自治会との対話が行われていない状況を踏まえ、「大学のあり方を変えるために必要なことについて参加者と理解を深める機会」をつくるために学習会を企画したという。

近代建築史が専門の笠原一人准教授(京都工繊大)は、要望書の内容にも触れながら現棟の歴史的経緯や建築的価値を説明した。また、現棟は補修しても重要文化財に指定されうると指摘し、「歴史的価値を守りながら残していく術はある」と訴えた。

髙山佳奈子教授(法学研)は、現棟をめぐる京大の対応は2つの犯罪に該当する可能性があると指摘した。「所有権がどこにあろうが、権利がその上に乗っかっているものについては、壊してはならない」という趣旨の最高裁判例を挙げ、京大と寮生との間の在寮契約が終了していない以上、現棟を損壊した場合は建造物損壊罪が成立しうると訴えた。また、今年5月、京大は「立入禁止」としている現棟への侵入痕跡があったと発表したが、寮自治会は和解条項には「立入禁止」の記載はなく「合意した事実はない」と言及していた。この件について髙山教授は、和解調書の記載上権限のない、虚偽の内容の公示札を立てる行為は、職権濫用罪に該当するとした最高裁決定を引用。こうした告示や張り紙を京大教職員が発出することは、公務員職権濫用罪にあたりうると述べた。本紙が髙山教授に尋ねたところ、寮自治会やその担当弁護士との間で、民事上の現棟の取り壊しの差し止めや上記2つの犯罪の刑事告発といった法的対応を話し合っていると明らかにした。

当日はオンライン参加も含めて、100名ほどが登壇者の意見に耳を傾けた。本紙の取材に対し寮自治会は、今後の対応について「あらゆる可能性を排除せず検討している」としつつも、「全ての前提に対話の再開がある」と強調した。(鳥)

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