文化

「無用の用」との出会いを語る トークイベント「北川進×『荘子』」

2026.07.01

「無用の用」との出会いを語る トークイベント「北川進×『荘子』」

『荘子』について語る北川氏(右)と宇佐美氏(京都大学提供)

5月27日、附属図書館のラーニング・コモンズで、トークイベント「北川進×『荘子』」が開催され、北川進・高等研究院特別教授が登壇した。本イベントは、今の自分自身や研究を形作った本「コア・ブック」を紹介する企画の一環。北川氏が自身のコア・ブック『荘子』の中で説かれる「無用の用」から学んだ研究精神を語った。

北川氏が「無用の用」という言葉に出会ったのは、学部生の頃、湯川秀樹の『天才の世界 続々』を読んだときだという。このときようやく、「人がやらないことをやれ」という京大の伝統が腑に落ち、有用なものを改良するのではなく、無用なところから新しいものをつくる創造の思想を学んだ、と当時を思い起こした。

また、高校時代に図書室の小説を隅から隅まで読み漁るなど、日頃からの読書が「無用の用」との出会いに繋がったと振り返った。そして、この出会いも細菌学者ルイ・パスツールの言葉「幸運は準備された心にのみ宿る」で知られる「プリペアードマインド」によるものであるとし、幅広く学ぶことの重要性を説いた。司会の宇佐美文理・総合生存学館特定教授も、手当たり次第に本を読むことは若者にしかできないと賛同した。

北川氏にとっての天才は誰かという、湯川秀樹の著書にちなんだ質問には、「今は特定の人はいない。現代の科学は一人の天才で変わることはなく、オーケストラのように研究者同士が協力することで新しい学術ができあがる」と答えた。

入場券の配布は20分ほどで終了し、サテライト配信も含めて、約100人の学生・教職員が耳を傾けた。附属図書館によると、コア・ブックに関する企画を秋頃にも予定しているという。2026年2、3月には、学生を対象に各自のコア・ブックを募るアンケートを実施していた。結果はラーニング・コモンズにて9月末まで展示される。(法)

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