京大 卓越大正式認定へ 今年度は200億円の助成 博士支援「同規模で継続」
2026.07.01
視察に訪れた松本洋平・文科大臣と握手する湊総長(右)
京大は、昨年12月に認定候補に選出されており、計画案の「磨き上げ」を経て今回の認定に至った。文科省の有識者会議は、7~10年ごとに目標値(=表)の実現状況と次期の実施計画などを評価する。さらに、京大のデパートメント制への移行を「体制強化計画における中核的な事項」だとして、助成開始から2〜3年度内に、支援継続の可否や支援額の見直しの判断も含めて「厳格なモニタリング」を行う。
卓越大の認定校は、国が運用する10兆円の「大学ファンド」から最長で25年間、助成を受けられる。認定校は、年間平均3%程度の事業成長を見込む財務戦略を掲げることが求められる。京大は、中長期財政計画で2050年度までに外部資金収入を現在の3.5倍となる1160億円に増やし、1.2兆円の独自基金を作ることを掲げる。
京大は、29年4月までに、約1千の小講座を約20のデパートメントに再編することを目指す。教育と研究を担う研究科を、研究組織のデパートメントと教育組織の研究科へ分離する。なお、附置研究所は研究者の所属先が変わるのみで、存続するという。記者会見で湊総長は、教授をトップとする「小講座」から、部局の壁を越えた学術分野ごとの「デパートメント」に移行することで、「特に若手が自由闊達に研究できる」と説明した。昨年12月には、教育人事組織として採用や昇進などを担う「学系」の区分に基づき約40のデパートメントを置くと説明していたが、学系長などからなるワーキンググループで検討し変更したという。
また、総長、教育・教学の責任者であるプロボスト、事業・財務の責任者であるCFOの三者によるガバナンス体制を確立し、指揮命令系統を整理した。さらに、総長直轄のリスク・コンプライアンス委員会が、全学のハラスメントや研究不正、軍事転用可能な技術がテロリストなどに渡るのを防ぐ「安全保障輸出管理」などへの対応を担う。
2月の取材で、阿曽沼慎司・総長特別補佐は、デパートメントにも教員の合議体を置くとして、デパートメント内でも一定の自治が担保される見通しを示した。デパートメントの研究戦略の策定や教員評価を担うデパートメントの長は、合議体で選出した候補を研究諮問委員会が審査してプロボストが任命するという。また、研究諮問委員会がデパートメントの成果や成長戦略を評価し、プロボストが人材や資金を配分する。京大は4月に同委員会を設置しており、委員の人選・委嘱は調整中という。
教育については、50年度末までに博士学位取得者を現状の3倍の2100人とする目標を掲げ、▼5年以内にデパートメントごとに学位プログラムを作り、36年度末までに大学院の全研究科を一元する▼優秀な留学生の獲得に向けて大学院教育の英語化を進めることも盛り込む。学部は、デパートメント設置後も存続する。大学院教育の改革の後、学部教育や入学試験のあり方も考えていくという。
また、卓越大の認定校は、国の博士後期課程学生への支援プログラム・SPRINGの対象外となる。記者会見で、植木純一・プロボストオフィス長は、助成金で同等の支援を行うように計画しており、問題なく継続できるとの見解を示した。また、授業料値上げについて「具体的には検討していない」と回答した。
学内では懸念も
これまで、学内からは卓越大認定で生じうる弊害を懸念する声もあがっている。京大職員組合は、22年から、卓越大に関連して部局改編がトップダウン式に行われることを懸念し、執行部による説明が不十分だとして、対面で双方向型の説明会の実施を京大へ繰り返し求めていた。25年10月には、学生有志が「卓越大反対スタンディング」で、卓越大認定により、学内のガバナンス強化に伴う福利厚生の削減や文系の学問・基礎研究の軽視などが生じると訴えた。記者会見で、湊総長は基礎研究の重要性を強調し「何かのために何かを犠牲にすることはない」と話した。

