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総長選考 第一次候補者6名を決定 5団体が公開質問状提出

2026.06.01

総長選考 第一次候補者6名を決定 5団体が公開質問状提出

表1:各候補者の略歴(編集部作成)

任期満了に伴う総長選考について、選考会議が5月25日に第一次候補者6名を選出した。候補は五十音順に▼浅野耕太(あさの・こうた)人間・環境学研究科教授▼江上雅彦(えがみ・まさひこ)理事・副学長▼椹木哲夫(さわらぎ・てつお)理事・副学長▼田尾龍太郎(たお・りゅうたろう)農学研究科長▼立川康人(たちかわ・やすと)副学長▼波多野悦朗(はたの・えつろう)医学研究科長(いずれも現職)であることが本紙の取材で判明した(=表1) 。6月15日に選考会議が教員への意向調査を行い、16日に選考会議が次期総長を決定する。次期総長は、10月1日に就任する(=図)。

6名の選出にあたっては、4月23日に教職員を対象とする学内予備投票が行われ、教育研究評議会が得票数上位15名を候補者として京大総長選考・監察会議(選考会議)に推薦した。予備投票では、2~4位に椹木氏、田尾氏、立川氏が続いた。浅野氏は7位、江上氏は9位、波多野氏は14位だったが、選考会議は第一次候補者として選出した。1位は北川進理事だった。なお、6名の選考理由は6月5日時点で非公開となっている。京大は予備投票の得票数や順位、15名の氏名を選考に関わる一部の教員・学外委員にしか公開しておらず、京大職組は5月14日付の要請書でこれらの公開を求めている。予備投票結果や選考理由を公開しない理由について、京大は「選考中の案件に係ることであり回答できない」としている。

図:総長選考のプロセス
(京大の発表を基に編集部作成)



候補者 卓越大認定を意識


15日の意向調査を前に、第一次候補者6名の所信表明書が教員用ポータルサイトで公開されている。候補者は、京大の今後のあり方について、選考会議が示す「望まれる総長像」の観点を踏まえ、2千字程度で考えを述べた。国際卓越研究大学(卓越大)認定を意識して、研究等体制強化計画(強化計画)の実現や小講座制からデパートメント制への組織改革、教育改革に言及している。

浅野氏は、人間・環境学研究科長としての自身の経験から学術越境の重要性を強調した。専門性の細分化によって分野をまたぐ交流に課題が生じていると指摘し、「深い専門性を守りつつ、それを孤立させず、人間同士の協働によって知の往還を加速する制度が必要」と述べた。

江上氏は、強化計画を一貫性をもって遂行するとし、デパートメント制への移行については研究者の意向を尊重し真摯な対話を重ねるとした。また「学生本位の教育改革」を掲げ「学生の利益を最優先に保護する」と述べた。

椹木氏は、「28年度には全デパートメントを設置する構造転換を断行する」とし、現場の負担を軽減する「人を置き去りにしない改革」を掲げた。軍民両用技術にも触れ、京大の基本方針を堅持しつつ、「研究の自由と安全保障を高度に両立させる」と述べた。なお、京大は18年に、「本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究」は「これを行わない」との方針を発表している。

田尾氏は、学問分野と構成員の多様性尊重を基盤とし、研究教育資源の戦略的配分と見直しに加え、野心的な研究への戦略的投資を行うと述べた。デパートメント制導入については現場の知恵を推進力として最適な組織運用をするとした。

立川氏は、将来構想や研究強化に関して方向性をあわせるため、デパートメントと大学執行部が情報共有し合意形成する場の構築を提案した。また、高度な研究装置を整備し学外にも開放することで、他機関の研究者や大学院生に研究大学としての魅力を伝えると述べた。

波多野氏は、社会的要請の高い分野である医学・生命科学・工学を「戦略的中核領域」の一つとして位置づけると述べた。基盤的研究の充実と重点領域への戦略的支援の両立、全学的視点に立った資源配分の最適化に取り組むとした。

5団体が質問状を提出


6月3日までに、京大職組中央執行委員会、吉田寮自治会、京都大学中東問題を考える有志学習会、京大独自の学費免除制度廃止に反対する会、京大職組学生部と文・農・工・理学部自治組織執行部の連名の5団体が、第一次候補者6名に公開質問状を提出した(=表2)。

職組中央執行委員会は、▼デパートメント制移行の実施計画▼学生の教育環境拡充▼吉田寮の建て替えといった具体的な課題を含む7点への見解を問う。「学内の対話の醸成がないまま、物事が決まっていく印象」があり、様々な軋轢も生じているとして、京大の今後の方向性を定めるために「学内の対話が大変重要」だとコメントしている。

吉田寮自治会は、「吉田寮に関する事項は寮自治会と執行部との対話で決めてきたという長年の経緯がある」として、寮自治会との対話など「吉田寮やそれを取り巻く環境にとって特に重要であると考える3問題」への見解を問う。

京大中東問題有志学習会は、▼ガザ地区からの学生受け入れ▼琉球等遺骨問題に関して見解を問う。

京大独自の学費免除制度廃止に反対する会は、学費や経済支援、制度廃止に関しての見解を問う。

職組学生部は、4学部自治組織執行部との連名で提出した背景について、本紙の取材に対し、「大学執行部と学生間の対話が、他の大学と比較しても明らかに不足している」ためとした。農学部自治会は、「今回の質問状は学生が不安に思っていること・分からないことを明らかにできる機会」と考え賛同したという。工学部新入生歓迎実行委員会は、学生向けの経済支援や雇用の形は学生生活や進路選択に関わるとし、「総長選考は工学部生の関心の集まるところ」だと述べた。理学部自治会は、職組側から連名での提出の提案を受け、「雇用問題など理学部生などに影響が及びうる内容も含まれていた」ため、賛同したという。文学部自治会は、京大が卓越大の認定候補となったことを踏まえて、今回の総長選は「京大の今後の分水嶺となる」とコメントした。

職組学生部と学生有志は、「学生には総長選考の情報すら全く伝えられていない」現状を問題視し、広く学内の構成員や学外に情報を伝えることを目的としてウェブサイト「2026京大総長選学生情報局」を開設した。

表2:5団体の公開質問状の内容(編集部作成)

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