複合研 原子炉KUR 62年の歴史に幕 後継炉は福井に 研究は熊取で継続
2026.05.01
無事に運転を終え、記念撮影する関係者(複合研提供)
京都大学研究用原子炉(KUR)は当初、京都府宇治市や大阪府高槻市を建設地候補としていたが、周辺住民の反対を受けて頓挫し、熊取町での建設が決まった。1961年に「原子炉実験所」の施設として起工し、64年に初めて臨界に達した。74年には「京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)」が初めて臨界に達した。最大熱出力5千キロワットのKURは中性子を用いたがん治療法の開発や物体の非破壊検査に、最大熱出力100ワットのKUCAは原子炉に関する基礎研究などに用いられてきた。原子炉実験所は2018年に「複合原子力科学研究所」へ改称した。
KURの運用はこれまで、使用済み燃料をアメリカへ引き渡す日米政府間の合意のもとで実施されていた。複合研の黒﨑健所長によると、合意は今年5月が期限であることや、原子炉の老朽化や東日本大震災後の規制基準の厳格化などもあり、今年5月以降の運転をしないことを決めたという。複合研は22年4月、26年春に運転を終了すると発表していた。
複合研は今後数十年をめどに、KURの廃止措置を実施する。また、福井大や日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で、今後10〜15年で敦賀市に建設される予定の新試験研究炉の設計を進めるという。黒﨑所長は▼KURで実施していた研究は、KUCAや加速器など複合研が所有する施設で継続可能であること▼KURの廃止措置が必要であること、などを挙げ、今後も熊取キャンパスの複合研の施設・人員規模は削減しないとの認識を示した。また、複合研のある教員は、新研究炉が完成するまでの間、KURと類似した設備がある、茨城県東海村のJAEAの研究施設を利用する想定だと明かした。
KURの運転終了を受け、黒﨑所長は本紙の取材に対し「運転終了は、むしろ研究所が生まれ変わるチャンス」とし、今後も放射線や原子力などの分野で唯一無二の研究機関を目指していきたいと述べた。KURの管理責任者を務める堀順一教授は、KURの運営に携わった所員や利用者、地元住民に謝意を示した。
他大学では近畿大が最大熱出力1ワットの原子炉を保有している。KURの運転終了に伴い、全国の大学が保有する研究炉はKUCAと近大原子炉の2基のみとなった。
