文化

建材と技術にこだわった伝統家屋 「見て学べる京町家ツアー」

2026.05.01

建材と技術にこだわった伝統家屋 「見て学べる京町家ツアー」

町屋の解説をする内藤さん

4月25日に京都市内で「見て学べる京町家ツアー」が開催された。京都市の京町家賃貸事業で活用されている「聚楽猪飼邸」と、建設中の町家の現場を見学した。主催はNPO法人「JapanCraft21」と「祇園内藤工務店」で、聚楽猪飼邸の改修や新しい町家の建設に携わっている。

ツアーでは最初に聚楽猪飼邸を訪問した。猪飼邸のような京町家は、基礎は石、外壁が土、骨組みはヒノキやマツ、スギなどでできている。座敷には書院造の床の間のほかに、菊の紋章と豊臣家の家紋が合わさった紋が見受けられた。猪飼邸の過去の所有者が豊臣家と関係があったのだという。奥の間では、霧島杉や台湾産のヒノキが用いられているそうだ。特に霧島杉は、猪飼邸が建設された明治時代の価格で400万円もの値がしたという。さらに、展示用に部屋の一部の床が取り外されており、基礎部分を覗くこともできた。町家を一通り見学し、日本建築らしい落ち着いた雰囲気を感じつつ、建材や建築用法の工夫を確認することができた。

続いて、JR花園駅付近で、建設工事中の新築京町家を見学した。これまで京町家は構造上、建築基準法の耐風圧性基準を満たすことが難しいとされていたが、昨年4月からついに工事が始まり、7月に棟上げが行われた。骨組みはすべて天然木が使用され、中には北山杉を用いているところもある。また、屋根は京町家で伝統的な竿縁天井となっている部屋もあり、壁についても、土壁が採用されていた。

祇園内藤工務店の代表で、今回ツアーのガイドを務めた内藤朋博さんは「京町家を保存することは、伝統ある建築技術を守るだけでなく、まちの風景を残すためにも重要だ」とした上で、「京町家の数は年間約800棟ずつ減少している。以前は外国に町家文化を広める構想もあったが、今では日本国内の伝統がそれどころの話ではなくなっている」と話した。なお、内藤さんは、自身が代表を務めるNPO法人「祇匠会」を通じて町家大工の育成に取り組んでいる。(珠)