文化

京都市京セラ美術館 京都で開花した前衛日本画 「日本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970」

2026.04.01

京都市京セラ美術館 京都で開花した前衛日本画 「日本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970」

三木誠『F市曼荼羅』1950年(福井県立美術館蔵)

戦後日本では、古い体制を戒める風潮のなかで、伝統文化としての「日本画」に逆風が吹いた。そうしたなか京都では、これを跳ね返すかのごとく、気骨あふれる若き画家たちが中心となり「前衛日本画」を創出していった――。京都市京セラ美術館(左京区)で特別展「日本画アヴァンギャルド KYOTO 1948―1970」が開催中だ。戦後に結成された3つの美術団体にフォーカスを当て、前衛的な作品を多数展示しており、日本画界を席巻した華々しいムーブメントを一挙に振り返ることができる。

冒頭には、1948年結成の「創造美術」の画家たちによる作品が並ぶ。この団体は、日本画材を用いた西洋の描法や、先例のないモチーフを取り入れることなどにより、日本画を新たなフェーズへ押し上げようとした。なかでも目を惹いたのが、洋椅子に腰掛けるモダン・ガールを描いた『小憩』(作・菊池隆志)だ。筆触は古くからの美人画を思わせるが、きりりとした目つきや高く通った鼻筋、赤く塗られた頬や口紅など、描写は当世風に仕上がっており、伝統に留まらない斬新さを感じさせる。

続いて並ぶのは、49年結成の「パンリアル美術協会」が生んだ作品群だ。この団体は西洋思潮を参考にして新たな表現を模索するとともに、現実を凝視する「リアリズム」に重点を置いた。『F市曼荼羅』(作・三木誠)にはその姿勢が色濃く反映されている。この作品の題材は、空襲被害に遭った福井の街。赤黒い焦土のうえに呆然と立ち尽くす親子と、天界に浮かび上がる理想郷を対比的に描き、戦争の残酷さと復興の難しさを克明に表現している。また技法の面では、にかわや顔料といった伝統的な日本画材を用いつつ、西洋のキュビズムも取り入れており、独創的な立体感が表現されている。

最後に登場する美術団体は、59年結成の「ケラ美術協会」だ。この団体の目標は「真にユニークな絵画」を生み出すことであり、その作品は日本画の枠組みを軽々と飛び越えている。特に印象的だったのが『Sanctuary』(作・野村久之)だ。青く染められたキャンバスの上に丸い突起物がぼこぼことくっついている。この正体は卵のパックだ。一見すると青いだけの不可解な作品にみえたが、自分の身近なものがコラージュされているとわかった瞬間に、作品理解への手がかりがつかめたように思え、じっくり見入ってしまった。

展示は5つの章に分けられている。章ごとに日本画のフロンティアを目の当たりにすれば、その大いなる前進に何度も衝撃を受けること間違いなしだ。会期は5月6日までで、4月7日に一部展示替えがある。開館時間は10時から18時まで(最終入場は17時半)。料金は一般1800円、大学生1300円。(梅)

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