4教授、日本の未来を語る 市民講座「政権交代」(2010.03.16)

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2月13日、20日の両日、時計台記念館百周年記念ホールにて市民講座「政権交代」が開かれ、合わせて約350名が参加した。1日目の講師は待鳥聡史・法学研究科教授と山室信一・人文科学研究所教授で、2日目は秋月謙吾・公共政策大学院教授、佐伯英隆・同客員教授。主催は京都大学と財団法人京大会館楽友会。京大の学術研究の一端を社会に公開し、市民の教養と文化の向上に貢献することを目的として、1979年に初の全学的な公開講座として始まった。

13日の第1講目は待鳥教授の「制度分析から考える政権交代:日本とアメリカ」。議院内閣制と小選挙区比例代表並立制をとる日本と大統領制・小選挙区制をとるアメリカの選挙制度・執政制度を比較し、両国で政権交代が起こった場合政策転換がどう可能かを講義した。待鳥教授によると、内政面での政策転換の鍵になるのは、日本においては参議院と官僚制を、アメリカにおいては議会をいかに従わせるかであり、議院内閣制をとる日本の方が政策転換しやすいという。しかし外交面を見ると、大統領制をとるアメリカの方が政府の権限が大きいので、容易に政策転換が可能だという。そして日米とも、政権交代の熱気や混乱から離れて政策の展開に重点を置くべきとして、講演を締めくくった。

続いて第2講目は山室教授の「政権交代と政治改革の間―思想史からの眼差し」。明治維新後に初の議会が設置された時点から現在に至るまでの、政治改革の歴史を語った。そして「政権交代こそ最大の政治改革」としたものの、政権交代と二大政党制との結びつきは必然ではなく、この問題が議論されていないと指摘した。

翌週20日の第1講の講師は秋月教授。テーマは「政権交代と官僚制:8・30ショックは霞ヶ関をどう揺るがせたか」。冒頭で政治家と官僚の関係についてのいくつかの「神話」について言及した。たとえば「日本の政治は長く官僚制が支配してきた」とよく言われるが、実際には大臣が人事権を持つので、最後は政治側が勝つ。その後、秋月教授は昨年8月30日の衆院選における民主党の大勝、それにともなう政権交代によって政治家が官僚に指導する場面が増え、個々の専門分野に精通した人材が必要になり、政権与党が官僚の人事を決定することが盛んになるだろうと述べた。そして最後に、与党政治家が官僚の人事を決定する政治任用に付随する「政権に近い人物が権力を持つ」危険性を指摘した。

最後の講義は佐伯教授の「国際通商交渉分野における政権交代の影響」。前半は国際交渉をバイ交渉(1対1)と多国間交渉に分けて、それぞれ実際にどのように進めるのかを解説した。そして多国間交渉においては高度な語学力と演技力が必要で、さらに何度も会議に出席して顔役になることが重要であるが、日本の官僚は短期間で異動するという問題点を取り上げた。その上で、政治主導とは政治家が現場に赴くのではなく、政治家がプロの集団をうまく運用することを指すべきだと主張した。講義の後半ではFTA/EPAのメリット・デメリットを挙げた。最後に、グローバル化した企業の利益が必ずしも国益に直結しないという点を指摘し、FTA/EPAは絶対のものではないと述べて講義を終えた。

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