労基署に京大告発 「改定三六協定は通達違反」(2010.02.16)

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1月19日、京都大学吉田事業場過半数代表者の宇仁宏幸・経済学研究科教授と京都大学教職員組合中央執行委員長の松波孝治・防災研究所准教授は、両氏の連名で、京都上労働基準監督署へ「京大で厚生労働省告示に違反している超過勤務命令がなされている」と告発し、京大に対する監督指導を要請した。(魚)

国立大学の教職員は、2005年の法人化以後非公務員化されたことで労務に国家公務員法の適用が外れ、労働基準法が適用されるようになった。労働基準法で使用者は、法令で定められた時間を超えて従業員に労働をさせてはならない。ただし、労使でいわゆる三六協定(※)を結べば、その協定に明記してある限りにおいて、労働時間の延長が可能になる。事業場において、雇用者の過半数を組織する労働組合が存在する場合は、当該組合が従業員を代表する立場から協定を結ぶ。さらに京大のように労組が過半数従業員を組織していない場合は、雇用者の中から過半数代表者を選出し、この代表者が使用者と三六協定を結ぶことになっている。

ただ、三六協定で特別に認められた延長労働時間(月45時間を越える超過勤務)は、法令上あくまで臨時的業務に当てられるものと規定されており、協定が適用される適用月数も年6回以下と規定されている。京都大学吉田事業場においても三六協定は法令に準拠した規定となっていた。

しかし09年度に入り、本部事務など一部の部署を中心に、残業時間が例年より20%も増加する事態が続いた。当時過半数代表者を務めていた吉村洋介氏(理学研究科講師)は、このままでは三六協定を超える労働が生じると大学当局側に対策を求めたが、大西珠枝・人事担当理事(当時)は「協定は守らなければいけないもの」として特に動きを見せなかったという。

ところが11月に人事担当理事が大西氏から塩田浩平氏に交代。これを機に大学当局側は三六協定の改定を吉村氏に提案した。内容は今年度に限って、45時間を超える超過勤務が認められる月を4ヶ月増やし10ヶ月までに緩和する、というもの。吉村氏はこのまま6ヶ月までの協定を維持しようとすると、サービス残業が発生する恐れがあると考え、12月16日付で改定案にサイン。三六協定は改定され、特別条項が10ヶ月まで適用されることになった。

これに対し職組側は11月17日の労使折衝の場で反対の意向を表明した。年明けの1月1日付で宇仁氏が過半数代表者に就任し、7日付で松本総長宛に特別条項の10ヶ月までの適用は法令違反であると、三六協定の再改定を求める申し入れ書を提出した。しかし15日付の返答書で当局側は、この要求を「理解できない」とし、再改定に応じる姿勢を見せなかった。

厚労省告示に違反する超過勤務を可能にしたことは他を見ても余り例の無いことであり、他の民間企業等が模倣すると、日本の労働環境がより悪化してしまうとの問題意識から、宇仁氏と職組中執は今回の告発に及んだ。大学当局側は2月16日時点で特に反応していない。

1月までの時点ですでに19名の従業員が特別条項6ヶ月以上の適用を受けている、または受けることが決まっており、また5名が医師から「健康を害する恐れがある」との警告を受けているという。

宇仁氏は「今回の問題には、部署によって人員に余裕があるところとそうでないところがあるという不均衡な現実があり、今回のような手段で『解決した』と言うのは違う、と感じる。年度末にある三六協定改定の際には、現行のような違反は絶対に認めない。むしろ、より従業員を保護するものにしていきたい」と語っている。


三六(さんろく)協定労働基準法では、原則として使用者は労働者を週40時間以上働かせてはならない。ただし同法第36条では、労使の双方が協定を結ぶことで一定の超過時間勤務が可能になる、と定めている。

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