脳血流から芸術作品へ(2010.02.16)

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1月25日から2月8日、アート作品に応用しようと色彩が脳活動とどのような関係を持つかを探る脳波・脳血流・呼吸の測定が、医学部人間健康科学科(病院西構内)にて行われた。

この実験は、今夏京都国立近代美術館で開かれる展覧会「Trouble in Paradise―生存のエシックス」に向け、市立芸大や同志社女子大、京都大学などが共同で作品制作する活動の一環。色彩の変化を見ることによって人間の脳波・脳血流がどう変化するかNIRS(近赤外線による脳機能測定装置)やEEG(脳波計測装置)を用いて調べ、得られた実験結果を基にアート作品へ応用を図るという試み。

実験は被験者をドーム状の空間の中に置いたベッドに横たわらせ、頭部に数々の電極やプラグを取り付ける。ベッドの横に備え付けられた三色のLEDが光り出し、ドームが様々な色で彩られていく。このLEDが放つ色彩に脳活動がどう反応するか調べるという。各年齢層から男女計15人ほどが被験者として協力した。(鴨)



制作メンバーのアーティスト・前田剛志さん(京都市立芸大美術学部構想設計専攻・非常勤講師)に話を聞いた。

―作品のコンセプトを教えて下さい。

得られた結果はコンピュータープログラムを経て映像化されます。例えば我々はこれまでに、鑑賞者の呼吸を測定装置で検出し、映像がそのリズムを基に変化反応していく、それを見た鑑賞者は心理的変化によって呼吸リズムが変わり、映像はさらに変化を繰り返すという作品を作りました。作品と鑑賞者がリアルタイムでフィードバックし合う。働きかけても何も反応しない静的な作品とは違った動的な、鑑賞者と作品の間に双方向的な関係を築きます。今回は元来医療目的に開発された測定装置で脳波・脳血流を調べました。人間内部の潜在的なデータを検出することで一層動的な、同一のものは二度と得られない、刹那の映像を絶えず生成し続ける。そうして自らの心身に対する理解を深めることができれば、また芸術と医学の分野を越境した作品になれば、と思います。

―実験結果をどう生かすのですか。

色彩を見ることによって脳血流は変化するのか、特定の色に異なる反応を示すのか、視覚と情動の関連性など、芸術分野の人間には全く分かりません。得られた結果を医学・心理学の専門家に見せ、そうした反応について予測やアドバイスをもらう。それらに基づいてアーティストは、例えば色彩を投影するスクリーンやドームの形状を構想し、様々な視覚効果や身体感覚を考慮した空間や素材について試行錯誤する。今回の実験装置が直接作品にはなるというわけではありません。

―どういった作品ができそうですか。

具体的に考えていません。意図的に考えるのを避けてきました。というのも、それを考えれば作品モデルが実験結果に先行し、適当な因果関係をこじつけかねず、芸術のために医学を歪めて利用しているに過ぎない。どういう作品になるかは今回の実験結果を検証して構想していきます。

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