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益川名誉教授が講演 平和訴える

2009.12.20

12月6日、国立京都国際会館で第39回「憲法と人権を考える集い」が催され、益川敏英名誉教授が講演した。少年時代に焼夷弾が近くに落ちたが不発で助かったこと、憲法9条などについて話した。

続いてのインタビューでは「科学者の社会的役割という言葉を、僕は使わない。ほっといても自然にそうなるものだ」とするいっぽうで「平和についての責任を科学者へ問うことには意味がある」と語った。

科学予算について問われると「スパコンは昔、日本が1位だった。でも今は33位。世界中が重要だと気づいた。『2位ではダメなのか』という(仕訳人の)
発言に、それはないだろうと思った」。スパコン開発の重要性の一つに、研究の波及効果があることを挙げる。

クオークの理論を作ったのは組合活動で多忙だった時期なのでは、と質問されると「2つ3つ、別の仕事を掛け持ちすることで良い仕事ができる」。読書法についても「気に入った本を買ってきて並べておき、気が向いたときに、似たような本を比べ読みする」と話し、並行作業の効用を説いた。

科学者を志す学生へのメッセージとして「『憧れ』と『ロマン』の2つが大事。何かに憧れることで第一歩を踏み出す」。最後に「もっと文化人が政治に発言すべきだ」と締めくくった。

第2部では「ぼくとわたしが見たオキナワ」と題して、京都から沖縄の戦争関連地へ見学に行った中高生5名と、現地を案内した学生組織「はえばるYouth」の4名が登場。見学成果を発表したり、戦争体験の話を継承する難しさを話すなどした。

沖縄では、8月15日よりも組織戦が終結した6月23日のほうが重要視されている事実が紹介された。条例で全県が休日となっており、慰霊祭が開かれる。同日は地方紙2紙が沖縄戦の特集を組むなどして意識が高まるが、8月15日は同日ほど盛り上がらないという。

平和教育のマンネリ化についても意見交換した。「はえばるYouth」前代表の福広太郎さんは「沖縄でもマンネリ化があると思う。中学でやったことを高校でまた―というような」「戦争をやめさせるために何ができるのか、ということを考えさせるような教育のあり方が良いのでは」と指摘する。

最後に京都の5名から「沖縄へ行って知ることはたくさんあったが、京都へ帰って、伝えることの難しさを知った」(船越温さん)として、子供の立場で出来ることを提案して終えた。