女性野宿者の現実を語る 越冬支援団体が講演(2009.12.16)

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12月11日文学部新館第2講義室にて講演会「女性が野宿者でいるってどんなこと?」(主催:路上と大学を考える会―むすぶ)が開かれた。文学研究科社会学教室で女性野宿者について研究し、自らも野宿者支援の活動に携わったことがある丸山里美さんが、日本の女性野宿者について語った。

まず丸山さんはホームレスの定義について①屋根無し(野宿者)、②家無し(シェルター等)、③不安定居住(居候、スクウォッター)といった区分があり、このうちどこまでをホームレスに含めるのかは国によってまちまちであり、日本では①のみがホームレスとされているとした。

次に日本ではホームレスで女性の占める割合が3パーセントと、3割程度を女性が占める欧米に比べきわめて低い事実に触れ、その原因として女性の社会的地位が低いためにそもそも世帯主が形成されにくいといった社会的条件により「貧困の女性化」が顕在化しにくい土壌があることを挙げた。

またホームレスに対する公的な支援体制も、女性は母子福祉や売春防止法が適用され、男性に比べ使える福祉の選択肢が多いとしながらも、あくまで女性は「福祉」の対象であり、社会保障/福祉のシステムがジェンダー化されているとした。

次に自身の調査で分かった女性ホームレス(野宿者+施設居住者)の特徴として、約半数は男性のパートナーとともに居住していること、男性に比べて地方に多く分布していること、ホームレスに至る過程は職業に注目して分類する男性中心の方法は当てはまらず、夫や息子からの暴力など人間関係から逃れてホームレスになる、という類型が存在することを挙げた。

また女性野宿者は、男性野宿者からの暴力を非常に恐れており、人目に付かない茂みの中にテントを張る、あるいは男装をして身の安全を図る人がいるという。夜回りに対しても怖がるので、女性の野宿者に対しては女性のボランティアが接する支援団体もあるそうだ。

さらに野宿者の世界でも、男性がアルミ缶拾い、女性が家事をするというように女性が主婦の役割を担わされる傾向があり、グループで野宿生活をしている野宿者たちの中で4~5の男性の家事一切を女性一人が担うといった例を紹介した。

丸山さんは女性野宿者を研究の対象にすることについて、女性を問題にすることで野宿者以外の広義のホームレスが射程に入るようになった点、また働いている野宿者を強調することがそれ以外のさまざまな理由で働けない野宿者や障害者を排除する危険性を持っていることを意識することが出来る点が意義深いとした。その上で自立、働くことを強制するあり方は暴力的であるとし、講演を締めくくった。会場では約30名の学生、市民らが熱心に話を聴いていた。

今回の講演会を主催した「路上と大学を考える会―むすぶ」では、年末年始に大阪の釜ヶ崎などで「越冬闘争」を計画している。これは日雇い労働者の主な雇用主である建設業が休みになり、また行政の窓口も閉まってしまう年末年始に、日雇い・野宿労働者への炊き出しや夜回りをするという。同団体では12月18日午後7時より文学部新館第6講義室にて越冬闘争の説明会を行なう予定。「決して楽しいことばかりではないが、色々と考えさせられる活動なのでぜひ参加して欲しい」とメンバーは活動のアピールをしている。連絡は musubukyoto<at>yahoo.co.jpまで。

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