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食品リスク認知の複雑性 第5回食と農の安全・倫理シンポ

2009.11.08

10月17日、農学部本館100号教室にて、第5回食と農の安全・倫理シンポジウムが開かれた。テーマは食品由来リスクの国際認知比較。講師は農学研究科教授の新山陽子氏、同研究科寄附講座「食と農の安全・倫理論」准教授の細野ひろみ氏、同寄附講座助教の工藤春代氏、韓国農村振興庁農業研究士の魏台錫氏の4人である。

同寄附講座は、現在世界的に問題視されている食品安全や環境問題の解決のため、いまだ未着手である倫理、科学的なリスク管理、ステークホルダー同士のコミュニケーションについて、関連分野と協力して学問的基礎を固めるのが目的だ。さらに、研究の実践的手法の確立、若手人材の育成も狙う。また、研究成果は農学部/研究科全体に還元し、全体のガバナンス教育に寄与する。

講演では、まず新山氏が食品に関するリスク認知がその他の危害因子についてのリスク認知と異なる特徴・構造を持っていることを示し、日韓米での消費者個人面接の結果と、それに基づき実施した国際的な質問紙調査の概要を説明した。次に、細野氏が日本と韓国2国の質問紙調査の結果を解説した。2国には共通して「健康被害の大きさ」の知覚がリスク認知を規定する最大要因であり、「健康被害の大きさ」の知覚はメディアの情報に曝される度合いと関係するなどの特徴があるとした。最後に、魏氏が韓国における食品安全問題と行政の管理体制の、工藤氏が欧米と比較した日本の食品安全行政の特徴を論じた。

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