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森精機社長、経営の要点かたる 未来フォーラム

2009.11.08

10月14日、第40回京都大学未来フォーラムが時計台記念館で開かれた。株式会社森精機製作所(本社名古屋市)の森雅彦代表取締役社長が講演した。「技術と経営」と題して学生・市民ら約350人に話した。

森氏は1985年に工学部を卒業。商社営業を経て、実父が経営する同社へ入社する。99年から社長に就き、積極的な経営でシェアを拡大させた。昨秋から京都大学経営協議会の学外委員も務めている。今回、各界で活躍する卒業生が自身の経験を話す場「未来フォーラム」に招かれ講演した。大学時代のエピソードも交えながら、会社をどのように発展させてきたか、工作機械が世界で果たす役割、などについて話した。

「とにかくボロクソだったわけですね」。工作機械産業は今でこそ注目されているが、日本において軽んじられていた時期があったことを冒頭で話した。

森氏は工作機械について「デザインを三次元にプリントアウトするもの」「天然資源を人類にとって必要な工業製品に置換する装置」と定義する。そして、工作機械を重要なものと認識してもらえるようにすることは私のミッションでもある、と話した。

会社は誰のものか、という議論については「お客様のもの」と明言する。損益計算書のいちばん上にある売上高は、お客様によるものと指摘。「よく質問されるが、最初から書いてある」。

また、俯瞰的な発想の大切さを語った。「俯瞰的に見ながら、全体的なシステムを構築していくことが大切」。世界各国のGDPや消費額などを挙げながら、理想的な経営形態をいかに目指すかを説く。そのうえで、経営ではマーケティングが最も重要、とする。業界のなかでの競争が、本当に市場が求める点で行われているか、と問いかけた。

最後に工作機械業界の展望を話し、講演を終えた。売上高世界4位の森精機と2位のギルデマイスター社(本社ドイツ)の提携で1位を実現することについて「生き残るためにやろう、と。(中国などの他社が迫るなか)今のうちに技術開発とお客様の囲い込みで圧倒的になろう、と考えている」と話した。

次回未来フォーラムは12月16日、元最高裁判所長官の山口繁氏を講師に招く。



《本紙に写真掲載》