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「白眉プロジェクト」始動 期待の若手へ、研究専念の環境

2009.10.05

京都大学は9月15日、若手研究者支援事業「白眉プロジェクト」の実施概要を発表した。京大に限らず学内外の、博士号を取得した若手研究者らを、年間20名を上限に年俸制特定教員(准教授、助教)として最長5年間雇用する。年俸制特定教員は京大の「特定有期雇用教職員就業規則」で「任期を付して雇用される教員のうち、総長の認める特定のプログラム、プロジェクト等により雇用されるもの」と定められている。

採用者には月40〜65万円の給与のほか、研究分野に応じて年間100万円~400万円の研究費を支給。新設された「次世代研究者支援育成センター」(センター長:伏木亨理事補)の所属となり、採用後に受け入れ先の各部局で研究生活をおくる。

研究に集中させるため、教育活動や部局での事務・管理に携わる義務を課さず、大学による研究の中間評価なども行わない。

同事業を実施する「次世代研究者支援育成センター」は、センタ―長、理事、京大の選任教授などから構成する選考委員会(伯楽会議)などで選考業務を担うほか、プログラムマネージャーという役職が受入部局との調整など採用者へのサポートを行う。

来年度分の選考は、今年9月16日から11月16日まで公募し、11月中旬から1月にかけて3段階で書面、面接による選考を行い、原則として4月から採用する。

松本紘総長は、総長選考にあたって昨年5月19日に公表した「京都大学戦略考」や、本紙インタビュー(昨年10月1日号)で、大学の助教などの若手教員や博士課程にすすむ学生が減少していることを理由に、次世代研究者支援の意向を示しており「大学全体で若手研究者のうちから優秀な人を採用して支援するシステムを作ろうと思っている。年20人、5年間で100人ほど」などとしていた。今回のプロジェクトはそれを具体化したものとみられる。

プロジェクト名、委員会名には故事成語を冠した。「白眉」は『三国志』で蜀の馬氏5兄弟のうち、眉の中に白毛のあった馬良が最も優れていたことから「同類の中で最も傑出している人や物」、「伯楽」は古代中国の人で馬の鑑定が巧かったことから、「人物を見抜く眼力のある人」を表す。