動物園に問われる新たな在り方 京大サロントーク(2009.08.01)

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7月14日、百周年時計台記念館にて第52回京大サロントーク「動物園での環境と教育」が、田中正之・野生動物研究センター准教授を講師に招き行われた。

京大サロントークは、「先端学問の研究者との交流」をコンセプトに月1回のペースで行われている。この日は40人ほどが集まり、普段京都市動物園に常駐する研究者の視点から、動物園の果たす役割と使命を中心に話が進められた。

一般に、日本の動物園は種の保存といった調査研究と教育の場であると同時に、命に触れる憩いの場という特徴がある。一方で欧米の動物園観は教育と研究に集約されており、レクリエーション的色合いは薄い。田中氏は、「日本の動物園も大学と連携することで、欧米並みの知識習得の場に変わるのではないか」と語った上で、将来的には修士以上の研究者が就職する場になるかもしれないと付け足した。

京都市動物園ではこの試みの先駆けとして展示の仕方などに工夫が見られる。「行動展示」と呼ばれるこの手法は、キリンの餌を自然長の位置から吊したり、ゴリラを自然に近い藪の中で飼育するなどが例に挙げられる。来園客はゴリラなどの観察に苦労を要することとなるが、これは動物園が「見せる」場だという強迫観念に一石を投じる試みと言える。

また同センターの設立により、研究者と動物園との相互のメリットが生じている。これは繁殖や獣医学といった飼育のメリットに直結する分野にとどまらない。例えば上記と比較した時メリットが分かりにくいような行動を専門とする研究者でも、「行動観察を通した環境エンリッチメント」の形で動物園に貢献できる。環境エンリッチメントとは動物の行動を明らかにし、問題がある場合には改善のための助言を行うという概念である。その一例がゴリラの吐き戻しの研究と観察である。京都市動物園のゴリラ、ゲンキ(オス)は食事の度に餌を吐き戻す傾向があった。センターではゲンキの行動観察を通じて餌の水分を減らすことで吐き戻しを抑えられると考え、野菜などの餌にワラを混ぜる(=どれが餌か分からないようにする)などの工夫を施した結果、野菜、果物のみを与えられた場合でもゲンキは吐き戻しを示さなくなった。

この日初めてサロントークに参加した工学研究科の学生は、「普段動物園についてのイメージが湧かないので充実していた」と感想を語った。

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