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留学生数、10年後に倍増へ 「教育の国際化」加速か

2009.07.18

西村周三副学長は7月3日、文部科学省が推進する「国際化拠点整備事業(グローバル30)」に京大の事業構想が採択された、と発表した。事業期間は今年から5年間で、京大に対して年間2〜4億円の財政支援がなされる。この財源のもと、留学生の受け入れ態勢の充実化、英語のみで単位を取得できる学部コースの設置や、短期交流プログラムの充実など、「教育の国際化」が図られる。

グローバル30は、文科省などが推進する「留学生30万人計画」の中心事業。審査を受け採択された大学に対して、海外からの留学生受け入れ体制の整備、戦略的な国際連携の推進など、国際化拠点形成への取り組みを財政的に支援するもの。

京都大学のほか、東北大、筑波大、東大など国立の7大学、慶応や上智、明治、早稲田など私立の6大学が今回採択された。

京大の事業構想は、英語のみで学位を取得できるコースの設置や、ベトナムに留学生受け入れ促進の事務所を設ける、などの施策を行うとしている。また、受け入れ環境の整備として秋季入学導入、留学生宿舎の増設、英語を話せる職員の配置や生活アドバイザーの増員などを実施する。数値目標として、現状で約1450名の留学生数を2020年までにおよそ2倍の3200名受け入れること、それに伴い、英語で授業を実施する外国人教員の比率を160人から320人に増員することなどを挙げる。

学部では2011年4月から工学部地球工学科に国際コースが設けられ、英語のみの教育課程が整えられる。入学選考も英語で行われ、従来の日本語による選考によって入学した学生の一部とともに学ぶことになる。修士課程では工学、農学、エネルギー科学、地球環境学舎など11の研究科で、早いものは2010年の10月から英語による教育を行うコースが設けられる。また、アジアからの留学生を受け入れるための海外大学共同利用事務所がハノイのベトナム国家大学内に設置される予定。

事業責任者である西村氏は「京大の事業構想の特徴としては、学部で提供する教育内容が防災・社会基盤整備などに関するアジア・アフリカで重要の高い科目をであること」と説明。また「現状として、京大に留学しに来ている学生が必ずしも日本を好きになって帰って行く訳ではないなかで、受け入れ態勢、留学生ケアの充実化が必要と考えている」と述べた。財源を得てまずはじめに着手するのは、「学内文書の英語版の作成」という。

事業期間である5年を終えた後もコースは維持し、財源などについては京大内で捻出していく予定。