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文明と一線を画す生活・文化・思想 思文閣で「アーミッシュ」展

2009.05.16

思文閣美術館(京都市左京区)で5月2日より、「PLAIN PEOPLE アーミッシュの生き方」と題した企画展がひらかれている。アメリカを中心に、現代においても文明とは一線を画した生活を営む「アーミッシュ」のライフスタイルを紹介する展示品や絵画・写真等、計300点ほどが展示されている。

アーミッシュとはキリスト教プロテスタントのうち、16世紀の宗教改革のさなかにスイスで生まれた最洗礼派(※1)から17世紀後半にフランスで独立した一派。現在はヨーロッパには存在せず、アメリカ、特にペンシルバニア州ランカスター郡に多く在住。農業を中心とした前近代的な生活で知られ、訴訟・離婚の禁止等を内容とする、代々伝えられてきたオルドヌング(ドイツ語で秩序・規範の意)に忠実に従って生活を営んでいる。現代生活に失われた精神性を彼らの生活スタイルに求める声も多く、特に2006年のアーミッシュ学校での銃撃事件(※2)で、多くのアーミッシュが犯人を許すことを表明し、自殺した犯人の葬儀に参列するなどして以来、その徹底した平和主義をはじめとしたアーミッシュの思想・文化が度々クローズアップされている。

会場は2会場からなり、1つ目の部屋では解説用のパネルとともに、アーミッシュの衣食住や冠婚葬祭にまつわる品や主要な生産品であるキルトの展示、教科書の展示等を行っている。2つ目の部屋ではアーミッシュを被写体・対象とした著名な画家・松下麻里さんと写真家・菅原千代志さんの作品が展示されており、彼らの生き生きとした姿や美しい田園風景等が収められた作品がかけられ、あわせてキルトなどの販売が行われている。

期間中は大学研究者らによる講演会もある。展覧会は8月2日まで。



※1再洗礼派: 洗礼は成人して後自ら選択すべきだと唱え、成人時に洗礼を行うグループ
※2銃撃事件: 2006年10月2日、ペンシルバニア州ニッケルマインズのアーミッシュ学校に、非アーミッシュの男が侵入し生徒らを人質にして立てこもり、少女10人を銃で撃ち、5人が死亡、5人が重傷となった事件。



《本紙に写真掲載》

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